ひな祭りは女の子のお祝いとして知られている節目の行事ですが、その意味や由来はどのようなものでしょうか。
本記事では、ひな祭りの歴史を紐解きながら春の伝統的な行事について基礎知識まとめを紹介していきます。
お子様に喜ばれるよう、ひな祭りにちなんだ子供向けの食べ物もまとめていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
ひな祭りの意味と由来
ひな祭りの起源は平安時代に中国から伝わったとされる「流し雛」です。ひな祭りの3月3日は五節句のひとつである「上巳の節句」にあたり邪気祓いのための禊(みそぎ)を行う節目でしたが、自分に見立てて作った人形を川に流し、自分自身の災厄を清める風習がありました。
また、当時の日本では貴族子女の間で「ひいな遊び」というおままごとが流行していたため、流し雛と合わさって現在のひな祭りになったのが由来とされています。やがて江戸時代に入ってから女の子の行事として定着し、ひな人形を飾ったり、行事食を振る舞ったりなどしてお祝いされるようになりました。
ひな人形を飾る時期
ひな飾りは結婚式を模したもので女の子の良縁を願う意味もあることから「早めがいい」とされますが、いつからいつまでと決まっているわけではありません。
ただし、前日に飾るのは葬儀と同じ「一夜飾り」となるため、ひな祭りなどの慶事では縁起が悪いとされていますので注意しましょう。
また、地域によっても違うため、ここでは、ひな飾りにふさわしい目安の時期について紹介しますので参考にしてください。
飾り始めは2月18日~19日頃がよい
2月18日~19日頃は二十四節気でいう「雨水(うすい)」の時期にあたります。ひな祭りの由来となった「水」での禊(みそぎ)にも関連するためふさわしい時期といえるでしょう。
また、ひな人形を水が豊かな雨水に飾り始めると「良縁に恵まれる」という言い伝えもあります。
片付けは3月5日頃の早めがおすすめ
ひな人形を「雨水(うすい)」に飾り、3月5日の「啓蟄(けいちつ)」に片付けるという流れは二十四節気の暦にも沿っています。啓蟄は春の季語であると同時に「開く」という意味があり縁起もよいでしょう。
早めに片付けるのがいいとされるのは女の子の婚期が「遅れないように」との意味もありますが、人形にうつした厄や災いが女の子に戻ってこないようにするためでもあります。
何歳まで飾るかは女の子の節目に合わせて
ひな人形を何歳まで飾るかは家庭や地域によってさまざま。特に決まりはありませんが、女の子の節目に合わせて区切りをつけるのもひとつです。
たとえば進学や就職、結婚など人生における節目を機に「お別れ」します。役目を終えたひな人形はお寺などで供養したり、実家でそのまま毎年飾ったり。
ただし、女の子の厄や災いをうつした「人形(ひとがた)」ですから、「他人に譲る」「娘にお下がりする」のは好ましくないとされています。
ひな祭りを子供に伝えるには?
ひな祭りの意味や由来を子供に教えるときは簡単で親しみやすい伝え方を工夫したいもの。お子様の年齢に合わせて表現を変えながら教えてあげましょう!
なぜ、ひな人形を飾るの? | ひな人形は○○ちゃんの身代わりで、○○ちゃんを病気や事故から守ってくれるのよ。○○ちゃんが元気に幸せに過ごせますようにと、おひなさんにお願いしながら飾ろうね。 |
なぜ、ひなあられには色がついてるの? | ピンクには「幸せ」、緑には「健康」、白は「長生き」、黄色には「たくさんの食べ物」といった意味があるのよ。 |
なぜ、ひな飾りを早く片付けるの? | ひな祭りはおひなさまの結婚式だからね、おひなさまには終わったら早く休んでもらって、○○ちゃんが結婚して幸せになれるよう、また来年までしっかりとお祈りしてもらうためだよ。 |
ひな祭りの食べ物は地域で違う?
ひな祭りの伝統的な食べ物はいろいろありますが、地域によって昔の食文化や慣わしが異なるため同じ食べ物でも特徴が違います。
ここでは、ひな祭りの代表的な食べ物を地域による違いや特徴とともに紹介しますので、お祝い準備の参考にしてくださいね。
ひなあられ
関東風 | お米型をしたポン菓子のようなあられを砂糖などで甘くしたもの。 |
関西風 | 餅を揚げて作ったボール状で、甘いものに加え醤油や海老などの味付けもある。 |
桜餅
関東風 | ピンクの薄い皮でこしあんを巻いたもの。別名「長命寺(ちょうめいじ)」。 |
関西風 | もち米と小豆で作るおはぎのようなもの。別名「道明寺(どうみょうじ)」。 |
ちらし寿司
関東風 | 白い酢飯の上に魚介類を中心にして具材をちらした海鮮丼のようなもの。 |
関西風 | 具材を混ぜ込んだ酢飯に錦糸卵や火が通った味付きの具材をちらしたもの。 |
その他
北海道 | 赤飯 | 甘納豆を使ったピンク色が特徴。 |
関東 | すあま | あんこのない甘さ控えめのかまぼこ状の和菓子。 |
岐阜 | からすみ | ういろうのような上新粉と砂糖を練って蒸したもの。 |
愛知 | おこしもの | 上新粉を練って蒸したものにピンク、黄、青などで色付けたもの。 |
愛知 | 伊賀まんじゅう | あんこを包んだ生地にピンク、黄色、黄緑で色付けして蒸したもの。 |
京都 | ひちぎり | よもぎ餅をちぎってひしゃくの形にし、あんこをのせたもの。 |
香川 | おいり | ひなあられのようなカラフルな餅菓子。 |
長崎 | 桃カステラ | カステラ生地の上にシュガークラフトの桃をのせたもの。 |
ひな祭りにちなんだ子供向けの食べ物
ひな祭りには、ひな祭りならではの食事を囲みながら家族でお祝いしたいものです。
ここでは、昔ながらの一品から現代風のスイーツまで、ひな祭りにちなんだ食べ物を紹介します!
甘酒(白酒)
ひな祭りの白酒には厄除けや禊(みそぎ)、健康祈願などの意味があります。もともとは、お酒に桃の花をひたして作る「桃花酒(とうかしゅ)」が飲まれていましたが、桃の花が映えるという理由から江戸時代になって「白酒(しろざけ)」が飲まれるようになりました。
ただ、お酒のため白酒は自宅で作れません。お子様用に作るなら、白酒の代用になる「甘酒(あまざけ)」がおすすめ。酒粕ではなく米麹で作ることにより、子供向けのスウィートでまろやかな甘酒になります。
~作り方~ |
・お湯と麹を混ぜ合わせます。 ・炊飯器で6時間ほど保温します。 ・お椀やカップに注いで召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
菱餅風ゼリー
ひな飾りにも登場する「菱餅」をモチーフにしたかわいいゼリーなら、幼いお子様にも食べやすいのでおすすめ。それぞれピンクには「魔除け」、白には「長寿」、緑には「健康」といった意味があります。
~作り方~ |
・お湯と粉ゼラチンをボウルで混ぜます。 ・ピンクは苺と牛乳、白は牛乳、緑は抹茶を加えて作ります。 ・それぞれゼラチンと混ぜてからレンジで加熱します。 ・ピンク→白→緑の順で冷蔵庫で固まるまで冷やします。 ・カップをひっくり返して器に盛り付けて召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
桜餅(関東風)
ひな祭りに桜餅が食べられるのは春の訪れを楽しむ意味があります。関東風と関西風では原材料も作り方も違いますが、ご家庭で簡単に作れて子供でも食べやすいという点では関東風の「長命寺(ちょうみょうじ)」がおすすめ。
ホットプレートでも作れますので、お子様と一緒に手作りしてみてはどうでしょうか。
~作り方~ |
・鍋に水と砂糖、食紅を入れて炊きます。 ・赤くなった液体を白玉粉、薄力粉に加えます。 ・出来上がった生地は1時間ほどねかせます。 ・生地をホットプレートで焼き上げます。 ・こしあんを生地で包み塩漬けの葉っぱで巻きます。 ・和漆器などに盛り付けて召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
三色だんご
お団子が食べられるお子様には、菱餅カラーの三色だんごもおすすめ。ピンクには「魔除け」、白には「長寿」、緑には「健康」といった意味がありますので、女の子の成長を祝うメッセージになります。
~作り方~ |
・絹ごし豆腐を耐熱ボウルに入れて泡立て器で混ぜます。 ・上新粉、きび砂糖、熱湯を加えたら泡立て器で混ぜ合わせます。 ・生地にラップをかけて600Wのレンジで1分加熱します。 ・生地を取り出してヘラでよく混ぜ合わせます。 ・生地は水に濡らしたヘラで3分割します。 ・それぞれの生地をオーブンシートの上で色づけします。 ・それぞれを5分割にしてから水に濡らした手で丸めます。 ・串の先を落とし、三色だんごを串に刺していきます。 ・お好みの和食器などに盛り付けて召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
いちご大福
ひな人形をモチーフにした大福で春らしく。いちごを使って旬な味わいやお祝いらしい華やかさも楽しみましょう。切り餅を使った簡単レシピなので、お子様と一緒に手作りするのもおすすめです。
~作り方~ |
・粒あん、こしあん、白あんなど、お好みの餡を4分割します。 ・いちごのヘタを取ってから、いちごを餡で包みます。 ・レンジで加熱した切り餅を2分割してピンクと緑に着色します。 ・それぞれ2つずつにして楕円形に成形します。 ・お餅に片栗粉をまぶして粉をはらいます。 ・いちごと餡を包んで器に並べたら召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
はまぐりのお吸い物
ひな祭りの起源が「人形(ひとがた)」を川や海に流した「流し雛」であることから魚介類は定番の食べ物。特に「良縁」「夫婦円満」といった縁起のいい意味がある「蛤(はまぐり)」が好まれています。
まだ貝類が食べられないお子様には、お吸い物の出汁だけ味わってもらってもいいですね。
~作り方~ |
・鍋に下処理しておいた蛤(はまぐり)と昆布を入れて水から炊きます。 ・蛤(はまぐり)がパカっと割れたらアクを取り除きます。 ・お吸い物には料理酒と塩を加えながら味を整えます。 ・お椀に盛り付け三つ葉を添えて召し上がれ。 |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
ちらし寿司
ちらし寿司は関東風と関西風で具材や作り方が違いますが、ちょうど両方の特徴を組み合わせたようなレシピで子供も大人も楽しめる仕上がりにしてみましょう。お子様の年齢や好みに合わせて具材を調整できるのも魅力です。
魚介類をたっぷり使えば関東風に、酢飯に具材を混ぜ込んで錦糸卵をちらせば関西風に仕上がります。赤い海老の「魔除け」や「長寿」、黄色い卵の「豊穣」といった縁起の意味にもあやかりましょう。
~作り方~ |
・お米を炊いて合わせ酢で酢飯を作ります。 ・ごまや大葉など、お好みの材料を酢飯に混ぜ込みます。 ・お好みの具材をすし飯の上にトッピングします。 ・大根やレンコンを装飾用にして豪華さを出すのも◎ ・すし桶や和食器などに盛り付けて召し上がれ。 ※お子様の年齢や好みに合わせた具材でOK! |
◆詳細なレシピは動画をご参照ください。
まとめ
ひな祭りは中国から伝わったとされる「流し雛」が起源の節目行事が由来。もともとは自分に見立てて作った人形を川に流して災厄を清める風習が由来して、ひな人形を飾るお祝いとして定着しました。
ひな人形は2月18日~19日頃から飾って3月5日頃に片付けるのが暦の上でもふさわしいとされています。また、ひな祭りを祝う食べ物には地域によって違いがあるのも伝統行事ならではの特徴。
本記事では、ひな祭りにちなんだ子供向けの食べ物も紹介しましたので、ぜひ、ご家族でのお祝いにお役立てください。
尚、男の子の節句「端午の節句」については詳しく書かれた関連記事もありますので、よければ合わせてご参照ください。