お盆の迎え火・送り火はいつ焚く?やり方や準備から代用方法まで先祖供養まとめ

ご先祖様や故人のために迎え火や送り火を焚くのは、お盆における大切な儀式。

お供えや読経などと合わせて行う先祖供養ですから、しっかり備えておきたいものです。

本記事では、お盆における迎え火・送り火について以下の内容を紹介します。

  • お盆に迎え火・送り火を焚く意味
  • お盆の迎え火・送り火はいつ焚くのか
  • お盆の迎え火・送り火はどこで焚くのか
  • お盆の迎え火・送り火のやり方と準備
  • お盆の迎え火・送り火の代用方法

ぜひ、本記事を参考にしながら、お盆までの準備にお役立てください。

お盆の迎え火・送り火とは?

お盆の迎え火・送り火とは、ご先祖様や故人を迎えたり見送ったりするため玄関先などで焚く「火」のことです。それぞれに火を焚く意味がありますので確認しておきましょう。

迎え火ご先祖様や故人が家に帰ってくるときの目印のため。邪気祓いや家を浄化する意味もある。
送り火ご先祖様や故人があの世に戻るときに見送るため。厄除けや無病息災祈願の意味もある。

また、迎え火・送り火の煙によって、あの世とこの世がつながるともいわれています。ご先祖様や故人と家族の気持ちがひとつになるようにといった願いをこめる意味もあるかもしれません。

浄土真宗では焚かない?
浄土真宗では迎え火・送り火は焚きません。浄土真宗の場合は「故人はすぐに極楽浄土へ往生する」という意味で「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」の教えがあり、「ご先祖様や故人が帰ってくる」という考えがないためです。

お盆の迎え火・送り火はいつ焚く?

迎え火はお盆の初日に、送り火はお盆の最終日に焚かれます。お盆の迎え火・送り火を焚く時間に決まりはありませんが、灯りが見えやすい夕暮れ以降に灯されるのが古くからの慣わしです。

迎え火お盆の初日(8月13日あるいは7月13日)の夕方から日没にかけて。
送り火お盆の最終日(8月16日あるいは7月16日)の夕方から20時頃まで。

お盆の時期というのは地域や宗派によって異なるため、それぞれの慣習に合わせましょう。

旧盆(きゅうぼん)8月15日頃一部地域を除く全国
新盆(しんぼん)7月15日前後東京都、神奈川県、石川県、静岡県の各一部地域

お盆の迎え火・送り火はどこで焚く?

お盆の迎え火・送り火は、お墓や自宅などの場所で行います。

・お墓の前
・玄関先
・門前
・ベランダ

お墓に行けない場合や仏壇がない場合など、お盆を迎える場所よって火の焚き方が違います。迎え火・送り火を焚くときは、どこで行うのかを決めてから準備しましょう。

お盆の迎え火・送り火のやり方と準備

ここでは、お盆の迎え火・送り火を焚くときのやり方について紹介します。どこで火を焚くかによって作法が違いますので、お盆を迎える場所に合わせて準備しましょう。

お墓が近い一戸建ての場合

お墓が近い場合は、ご先祖様や故人を家まで案内するという意味で、お墓で火をつけて家に持ち帰ります。

~準備するもの~
・オガラ※麻の皮を剥いだ後の芯の部分
・焙烙(ほうろく)※平たくて浅い素焼の土器
・盆提灯 ※手持ち提灯、置き提灯
・ロウソク
~迎え火のやり方~
・手持ち提灯とロウソクを持って、お墓がある菩提寺や霊園に向かいます。
・お墓参りのときの火や菩提寺の焚き木から火をロウソクに移します。
・次にロウソクの火を手持ち提灯に移します。
・手持ち提灯の火を消さないように家まで持ち帰ります。
・手持ち提灯の火を仏壇のロウソクと置き提灯に移します。
・家の門前や玄関先に焙烙(ほうろく)を置き、その上にオガラを乗せます。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
※オガラが長い場合は半分に切ってかまいません。
・家に持ち帰ってきた火をオガラに移して、全員で合掌します。
・合掌しているときは「ご先祖様が迷わず帰ってこられますように」と祈ります。
・本来は提灯の火を消さずに置きますが、安全面から火を消すようにしましょう。
~送り火のやり方~
・迎え火を焚いた同じ場所に焙烙(ほうろく)を置き、その上にオガラを乗せます。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
・仏壇のロウソクに火をつけたら、その火を手持ち提灯のロウソクに移します。
・手持ち提灯の火から別のロウソクに火を移し、次にその火をオガラに移します。
※オガラが長い場合は半分に切ってかまいません。
・火柱が立ったら全員で「ご先祖様が迷わずお戻りになられますように」と合掌します。
・お墓がある菩提寺や霊園まで提灯の火を消さないよう向かい、お墓の前で火を消します。
・ご先祖様や故人が後ろ髪を引かれないよう、送り火を終えたら早めに盆飾りを片付けます。

お墓が遠い一戸建ての場合

お墓が遠い場合は自宅で火をおこします。お墓から火を持ち帰る習慣がない場合でも同様です。

~準備するもの~
・オガラ※麻の皮を剥いだ後の芯の部分
・焙烙(ほうろく)※平たくて浅い素焼の土器
・盆提灯 ※置き提灯
・ロウソク
~迎え火のやり方~
・お墓参りをする場合は午前中に済ませておきます。
・家の門前や玄関先に焙烙(ほうろく)を置き、その上にオガラを乗せます。
※オガラが長い場合は半分に切ってかまいません。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
・仏壇の火をロウソクに移して、次にその火をオガラに移します。
・火柱が立ったら全員で「ご先祖様が迷わず帰ってこられますように」と合掌します。
・仏壇から移したロウソクの火を置き提灯のロウソクに移します。
・本来は提灯の火を消さずに置きますが、安全面から火を消すようにしましょう。
~送り火のやり方~
・迎え火を焚いた同じ場所に焙烙(ほうろく)を置き、その上にオガラを乗せます。
※オガラが長い場合は半分に切ってかまいません。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
・仏壇のロウソクに火をつけたら、その火を手持ち提灯のロウソクに移します。
・提灯の火から別のロウソクに火を移し、次にその火をオガラに移します。
・火柱が立ったら全員で「ご先祖様が迷わずお戻りになられますように」と合掌します。
・火が消えたら提灯の灯りを消します。
・お墓参りをする場合は送り火を済ませてからにします。
・ご先祖様や故人が後ろ髪を引かれないよう、送り火を終えたら早めに盆飾りを片付けます。

集合住宅の場合

アパートやマンションなどの集合住宅で火を焚くときは、事前に規約を確認しておきましょう。ベランダが共有部分とみなされる場合は火気厳禁の可能性があるため注意が必要です。

~準備するもの~
・オガラ※麻の皮を剥いだ後の芯の部分
・焙烙(ほうろく)※平たくて浅い素焼の土器
・盆提灯 ※小型の置き提灯
・お盆飾りをする精霊棚(しょうりょうだな)※小さな机でも可
~迎え火のやり方~
・精霊棚(しょうりょうだな)に精霊馬などのお盆飾りやお供えをします。
・お墓参りをする場合は午前中に済ませておきます。
・ベランダやキッチンなど火がつけられる場所に焙烙(ほうろく)を置きます。
・その上にオガラを乗せます。※オガラの長さや量に気をつけ火が燃え過ぎないようにします。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
・火が消えたら盆提灯に灯りをつけます。
~送り火のやり方~
・朝、ご先祖様や故人に霊供膳を供えておきます。
・迎え火を焚いた同じ場所に焙烙(ほうろく)を置きます。
・その上にオガラを乗せます。※オガラの長さや量に気をつけ火が燃え過ぎないようにします。
・オガラに火がつきやすいよう、オガラの下には新聞紙などを敷いておきます。
・火が消えたら盆提灯の灯りを消します。
・お墓参りをする場合は送り火を済ませてからにします。
・ご先祖様や故人が後ろ髪を引かれないよう、送り火を終えたら早めに盆飾りを片付けます。

お盆の迎え火・送り火の代用方法

マンション・アパートなどの規約から火が焚けない場合は、盆提灯で代用してかまいません。盆提灯にも、ご先祖様や故人の霊が迷わないための目印としての意味があります。

吊り提灯上から吊るすタイプ
・御所提灯(ごしょちょうちん)
・御殿丸提灯(ごてんまるちょうちん)
・住吉提灯(すみよしちょうちん)
・切子灯籠(きりことうろう)
・提灯スタンド
置き提灯置いて灯すタイプ
・大内行灯(おおうちあんどん)
・回転行灯(かいてんあんどん)
白提灯(初盆のみ)初盆で使うタイプ(四十九日の忌明け後に初めて迎えるお盆)
※1つだけ用意して「対」では置かない。
※お盆が終わったら、お寺にお願いしてお焚き上げをする。
※自宅で燃やしてもよい。

いくつか種類がありますが、地域や宗派によって決められている場合があるので確認してから準備しましょう。本来なら盆提灯も火を灯して使いますが、電気式で使えるものもありますので安心です。

また、燃やすタイプのロウソクやライトのような電気式のロウソクも迎え火・送り火の代用になりますので、お盆を迎える場所に合わせて選びましょう。

お盆の迎え火を忘れてしまったら?

お盆の迎え火を忘れてしまった場合は、まず、ご先祖様や故人にお詫びするため「遅れてしまい申し訳ございません」と、お墓の前や仏壇で手を合わせます。お盆入り当日中であれば、時間にしばられず迎え火を焚いてもかまいません。お盆の最終日になったら、夕方以降に送り火を焚いてご先祖様や故人を見送りましょう。

まとめ

お盆の迎え火・送り火には、それぞれに意味があります。

  • 迎え火……ご先祖様や故人が家に帰ってくるときの目印。邪気祓いや家を浄化の意味も。
  • 送り火……ご先祖様や故人があの世に戻るときに見送るため。厄除けや無病息災祈願の意味も。

迎え火はお盆の初日に、送り火はお盆の最終日に焚かれるのが慣わし。火を焚く時間に決まりはありませんが、灯りが見えやすい夕暮れ以降に灯されるのが通例です。

お墓の前や玄関先、門前、ベランダなどで焚くのが正式ですが、マンションやアパートといった集合住宅で焚けない場合は盆提灯やロウソクなどで代用してかまいません。いずれも、ご先祖様や故人の霊が迷わないための目印としての意味がありますので、お盆を迎える場所に合わせて適切な方法を選びましょう。

本記事では、お盆の迎え火・送り火の焚き方についても紹介しました。ぜひ、本記事を参考にしながら、ご先祖様や故人をもてなすための準備に役立ててください。

尚、お盆の意味や由来、お盆飾りなどについてまとめた関連記事もありますので、よければ合わせてご参照ください。

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