遺骨を処分する方法7つ|法律を守って正しく対処しよう

近年、さまざまな理由から遺骨の処分を検討している方が増えています。

とはいえ、遺骨の処分方法について悩む方も少なくありません。

「どういうときに遺骨は処分するもの?」
「どうやって遺骨を処分すればいいの?」
「すでに遺骨になっているから自分で処分していい?」

このように、遺骨の処分について気になることがあるのではないでしょうか。

本記事では、法律にのっとった遺骨の処分方法や注意点について紹介します。

遺骨は勝手に処分できない?

遺骨を形が残ったまま処分することは法律で禁じられています。

~刑法 第190条~
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の拘禁刑に処する。

また、別の法律では遺骨の埋葬についても禁じています。

~墓地埋葬法 第4条~
・埋葬又は焼骨の埋蔵は、墓地以外の区域に、これを行ってはならない。

つまり、いくら不要になったからといって、たとえ身内のものであっても、自分が所有する場所の中であっても勝手に処分できないのです。

法律に違反すると厳しい罰則が科せられますので、これから遺骨を処分するときは法律を守って正しく対応するようにしましょう。

遺骨の処分が必要なときとは?

それぞれに遺骨の処分を必要とする理由は異なりますが、ここでは、一般的に遺骨の処分が検討される事情を確認しておきましょう。

~遺骨の処分が必要なとき~
お墓の納骨室がいっぱいになった。
お墓を継ぐ人がなく墓じまいをする。
お墓を持ちたくない。
先祖代々の墓に入れられない。
手元供養分以外を手放したい。
遺骨(故人)に格別な思い入れがない。

本来、遺骨を残しておくのは故人の死を受け入れたり、故人を偲ぶためであったりなど「供養」の意味からです。お墓に納めるだけでなく、手元供養として身近な場所に置いておくこともあります。

お墓や遺骨が受け継がれていった場合は供養する人の気持ちや状況も変わりますので、なにかの事情で「処分」が検討されることは致し方ありません。

遺骨の一般的な処分方法は7つ

ここでは、法律にのっとって正しく遺骨が処分できるよう、適切な方法を紹介します。

  • ●納骨室がいっぱいなら「スペース」を空ける
  • ●お墓じまいするなら「永代供養墓」に移す
  • ●お墓だけいらないなら「納骨堂」に安置する
  • ●お墓の管理が難しいなら「合祀」で埋葬する
  • ●遺骨を残さないなら業者に依頼して「散骨」する
  • ●お墓や納骨堂ではない「樹木葬」で埋葬する
  • ●遺骨を引き取らない場合は火葬で「焼き切り」にする

それぞれの処分方法について具体的に見ていきましょう。

納骨室がいっぱいなら「スペース」を空ける

お墓にはカロートと呼ばれる納骨室がありますが、たくさんの骨壺でスペースがなくなることがあります。お墓のスペースを空ける方法は大きく分けて以下の3つです。

・何十年も経った古い骨は「かさ」が減っているため、ひとつの骨壺にまとめる。
・カロートの底に土がある場合は、骨のままか素焼の壺に入れるかして土に還す。
・遺骨を骨壺ではなく骨袋に納めたり、粉骨して「かさ」を減らしたりする。

お墓を残しながら納骨の問題だけを解決するのであれば、納骨室のスペースを広くするだけでも対応できます。

お墓じまいするなら「永代供養墓」に移す

たとえば、「お墓を継ぐ人がいない」、「お墓が遠方のため管理が難かしい」、「お墓を管理する人がいないまま放置されている」などの理由でお墓じまいをする場合。お寺や霊園の永代供養墓に移すと、ご先祖様への供養をそのまま継続させながら遺骨管理の負担だけ減らせます。

現在お墓がある場所であっても、どこか別の施設であっても、永代供養墓への移設には書類の準備や行政手続きが必要です。

永代使用許可証(受入れ証明書)お墓の移設先で発行してもらう。
改葬許可申請書現在お墓のある自治体で受け取る。
埋葬証明書現在お墓のある施設で発行してもらう。
改葬許可証永代使用許可証、改葬許可申請書、埋葬証明書を現在お墓のある自治体に提出して受け取る。

まずは、どこで永代供養をお願いするかを決めてから準備や手続きをすすめましょう。

お墓だけいらないなら「納骨堂」に安置する

納骨堂とは、遺骨を骨壺のまま納めておける納骨専用の屋内スペースです。お寺の直営となる「寺院納骨堂」のほか、自治体が運営する「公営納骨堂」や宗教法人などが運営する「民営納骨堂」があります。

たとえば、「お墓を建てる費用はないが供養はしたい」、「お墓の世話をするのが大変なので管理を任せたい」、「いずれ無縁仏となってしまうのは申し訳ない」などの理由で利用されるのが一般的。たいていアクセス至便な場所に設けられているので、お参りがしやすいのも利点です。

お墓の管理が難しいなら「合祀」で埋葬する

たとえば、これまで付き合いのなかった遠い親戚が亡くなったときや、無縁仏になることがわかっている遺骨を管理しているときなど、お墓に納骨する予定がない場合。石碑や供養塔といった共同の慰霊碑に祀る「合祀(ごうし)」という方法があります。

合祀をする場合は申請に必要な書類を準備しておきましょう。

使用者の住民票(発行して3か月以内のもの)
使用者の本人確認書類(運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
故人の火葬許可証、埋葬許可証、改葬許可証のいずれか

合祀には、お墓の管理を任せられる利点がありますが、他人の遺骨とまとめて埋葬するため将来的に遺骨を取り出すことはできません。合祀を検討する場合は、別の方法とメリット・デメリットを比較しながら決めるようにしましょう。

遺骨を残さないなら業者に依頼して「散骨」する

よくある散骨は故人の遺言によるものですが、お墓の管理ができない遺族が選ぶこともあります。散骨は、厚生労働省が定めたガイドラインにもとづいて代行業者が行いますので自分の判断で行わないようにしましょう。

散骨の方法には以下のものがあります。

海洋散骨遺骨を細かく砕いて海にまく。
山林散骨遺骨を細かく砕いて山深い場所にまく。
里山散骨遺骨を細かく砕いて自然豊かな里山にまく。
宇宙散骨遺骨や遺灰をロケットなどに搭載して宇宙に打ち上げる。

生前の故人にゆかりがある場所に散骨することは故人への供養にもなります。ただし、散骨を禁止している地域もありますので、たとえ代行業者に依頼する場合であっても事前に確認しておくようにしましょう。

お墓や納骨堂ではない「樹木葬」で埋葬する

樹木葬とは、お寺や霊園などの一画に遺骨をまいて墓石の代わりに樹木を植える埋葬法です。お墓や納骨堂と違って自然の風景に溶け込めますし、「自然に還る」といった価値観で供養ができます。

故人の遺言で樹木葬が選ばれることもありますが、お墓の新設や管理といった負担が減らせるため遺族が希望することからも需要が高まっています。また、宗教的な意味合いがなく、宗派を問われないもの利点です。

樹木葬には以下のようなものがあります。

里山型許可された郊外の山林などに埋葬され、自生している樹木や埋葬後に植えられた樹木が墓標の代わりとなる。
公園型霊園や寺院に設置された公園のような場所に埋葬され、周辺に植えられたシンボルツリーが墓標の代わりとなる。
庭園型決められた区画に埋葬され、樹木のほかにも色とりどりの草花などが植えられて墓標の代わりとなる。

樹木葬を検討する場合は、どのような形式がいいか、どのような状態で埋葬されるのかなど、現地を視察した上で確認するようにしましょう。

遺骨を引き取らない場合は火葬で「焼き切り」にする

焼き切りとは、遺骨を残さずすべて遺灰の状態にしてもらって回収まで依頼すること。まだ火葬が済んでいない段階なら、焼き切りにしてもらって遺骨の引き取りを断れるかもしれません。

火葬場での焼き切りに対応できるかは自治体によって異なりますので、事前に確認しておきましょう。また、前もって申請が必要であったり、火葬場によっては対応できなかったりしますので、合わせて相談しておくようにしましょう。

遺骨を処分するときの注意点

たとえ正しい方法であっても、いざ遺骨を処分するというときは注意が必要です。どのような方法で処分するかを検討しながら、本当に処分していいのかどうかについても配慮しておきましょう。

  • ●関係者で相談して決めること
  • ●代行業者は慎重に選ぶこと
  • ●自治体が禁止していないか確認すること

それぞれの注意点について解説します。

関係者で相談して決めること

遺骨は、祭祀承継者といって、墓地や墓石、仏壇、位牌など先祖を祀るための財産を継承した人が供養や処分をするのが原則。祭祀承継者は被相続人に指定された親族であることが一般的ですが、地域の慣習に従って決められた人や家庭裁判所によって決められた人などの場合もあります。

いずれにしても、いくら正しい方法だからといって遺骨を勝手に処分するのは控えましょう。必ず、親族ほか関係者で相談しながら処分の方法も含めて適切に対応できるよう検討しましょう。

自治体が禁止していないか確認すること

自治体によっては散骨や樹木葬を禁止しているところもあります。自治体が禁じている地域では業者であっても対応できませんので、散骨や樹木葬による処分を検討している場合は、必ず自治体の窓口で確認するようにしましょう。

代行業者は慎重に選ぶこと

遺骨の処分を代行してくれる業者は多数存在しますが、特別な認可を受けているわけではありません。そのため、違法な方法で処分されていたり、契約通りの方法で処分されていなかったりなど悪質な業者との間でトラブルになるケースもまれにあります。

~業者選びのポイント~
・料金システムが明確であるか。
・処分のときに立ち会えるか。
・代表者や会社の情報が正しく公表されているか。

もし遺骨の処分を業者に代行してもらうのであれば、まずは業者選びについて慎重にすすめるようにしましょう。

まとめ

それぞれに遺骨を残しておけない事情はありますが、どのような場合でも遺骨を勝手に処分すると法律違反となりますので気をつけましょう。また、いくら正しい方法であっても地域によって禁止されている場合がありますので、事前に自治体に確認することが大切です。

ここで、あらためて遺骨の処分方法をおさらいしておきましょう。

  • ●納骨室がいっぱいなら「スペース」を空ける。
  • ●お墓じまいするなら「永代供養墓」に移す。
  • ●お墓だけいらないなら「納骨堂」に安置する。
  • ●お墓の管理が難しいなら「合祀」で埋葬する。
  • ●遺骨を残さないなら業者に依頼して「散骨」する。
  • ●お墓や納骨堂ではない「樹木葬」で埋葬する。
  • ●遺骨を引き取らない場合は火葬で「焼き切り」にする。

代行業者に依頼する場合は信頼できる業者かどうか慎重に見極めるようにしましょう。そして、遺骨を処分するときは親族などに相談して決めることも礼儀です。

ぜひ、本記事で紹介した方法を参考にしながら、ご先祖様にとっても遺族の方々にとっても適切な対処をしてください。

尚、故人への供養に関連した関連記事もありますので、よければ合わせてご参照ください。

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