お食い初めを迎えるにあたり、「どんな料理を用意すればいい?」「手作りできるもの?」「手軽に準備できる方法は?」など、メニューについて知りたいことは多いですよね。
本記事では、お食い初めメニューに悩まないよう、基本メニューや意味、手作りのポイントや便利な方法など準備をスムーズにするためのハウツーを紹介します。
ぜひ、本記事を参考にしていただき、お食い初めにふさわしいメニューを考案してくださいね。
お食い初めの由来は?
お食い初めの由来は、平安時代に中国から伝わったとされる「百日の祝い(ももかのいわい)」が有力説。当時、赤ちゃんの生後100日の節目に宮廷行事として行われていたのですが、やがて一般的な祝い事となりました。
百日の祝いでは、赤ちゃんが「無事に育つように」との願いが込められ、お餅を食べさせるのが慣わしだったのです。鎌倉時代になると、お餅ではなく魚を食べさせる「真魚初め(まおはじめ)」に変わりました。
また、初めて箸を使うことから「箸初め(はしはじめ)」「箸揃え(はしそろえ)」などとも呼ばれるようになり、現代では、「赤ちゃんが食べ物に一生困らないように」との願掛けとして行われる伝統的な慶事になっています。
お食い初めの呼び名は地域によって異なりますが、赤ちゃんが生まれてから100日目を目安に祝い膳を用意して行うのが基本です。
お食い初めの時期については、こちらの記事に詳しく書かれていますので、ぜひ、合わせてお読みください。
赤ちゃんが生まれると、お祝いの行事が増えるものですが、お食い初めについても「いつやるの?」「どこで行うの?」「なにを用意すればいい?」などと気になりますよね。本記事では、お食い初めについて詳しく知らない方でも万全の準備が整えられるよ[…]
お食い初めの基本メニューとその意味
お食い初めには基本メニューがあり、それぞれに赤ちゃんの健やかな成長や幸せな人生を願って込められた意味があります。
ここでは、一般的に用意されているメニューを紹介しながら、メニューごとの意味を解説していきますので、ご参考にしてください。
お食い初めの基本メニューは「一汁三菜」
- 焼き魚
- ご飯
- 煮物
- 吸い物
- 香の物
焼き魚は鯛が好まれ尾頭付きで「首尾一貫」の意味
お食い初めの焼き魚には、「めでたい」の意味ももつ鯛が好まれます。皮が赤く身が白いことから祝い残にふさわしい紅白の見た目も縁起がよく、寿命が長い魚であることも好まれる理由です。
また、尾頭付きで出すのには、「首尾一貫」の意味があり、人生を最初から最後までまっとうできるようにとの願いが込められています。
地域によっては鯛以外の魚が用いられることもありますが、いずれも尾頭付きで準備するためには事前に魚屋にリクエストしておくとよいでしょう。
ご飯を赤飯にするのは「魔除け」「邪気払い」の意味
お食い初めで赤飯を出すと、赤い色がもつ「魔除け」「邪気払い」の意味になります。
必ずしも赤飯でなければならない決まりはなく、白飯(白米)や栗ご飯を出してもかまいません。ちなみに栗には、「硬い栗の実が噛めるほど丈夫な歯になるように」という意味があります。
煮物は具材によって縁起をかつぐ意味が異なる
お店や家庭、地域によってバリエーションに幅がある煮物は、使われる具材によって意味が異なります。一般的に好まれている具材と意味を一覧で紹介しましょう。
- 大根とニンジンの紅白で縁起よく
- 里芋は種芋に子芋が多くつくため「子宝に恵まれますように」
- レンコンは穴が開いているため「将来を見通せますように」
- タケノコは成長が早いため「すくすく育ちますように」
- かぼちゃは亀甲の飾り切りをして「長寿」を願う
- 昆布は「よろこぶ」の語呂で縁起よく
ほかにも地域の特産品を使った独自の意味もあるため、ご両親やご親戚に伺ってみてはいかがでしょうか。
吸い物は「しっかりと母乳を吸えるように」の意味
吸い物には吸う力を強くして「しっかりと母乳を吸えるように」の意味があるほか、よく使われる蛤(はまぐり)には「良縁に恵まれますように」の意味もあります。
もし蛤が入手できない季節には、ネット通販で真空パックされたものが購入できますので探してみてください。
また、蛤の代用として、海老も好まれます。海老には「背中が曲がるぐらい長生きできるように」の意味があり、赤ちゃんの長寿が祈願できます。
香の物に梅干しを使うと「長生きしますように」の意味
香の物の定番は梅干しで、しわしわな見た目から「顔がしわしわになるまで長生きしますように」の意味をもちます。
ほかにも、「多幸(たこう)」の語呂合わせでキュウリの酢の物にタコを使ったり、紅白なますで縁起よくさせたり、お食い初めにふさわしいメニューで祝い膳を彩りましょう。
お食い初めは男の子⇔女の子で違う?
お食い初めでは、男の子と女の子で料理を盛るための漆器の種類が違います。
ただし、自宅で行う場合、現在では普通のベビー食器や離乳食用の食器を使うケースも増えていますので、必ずしも漆器を用意する必要はありません。
もし、伝統的な祝い膳を用意するのであれば、男の子と女の子で違う漆器の特徴を押さえておきましょう。
男の子は内も外も朱塗りの漆器
男の子の場合、内も外も朱塗りの漆器を用意します。模様の意味までこだわるなら、「勝負」「尚武」で勇ましさをあらわす「菖蒲(しょうぶ)」が好まれます。
女の子は内が朱塗りで外が黒塗りの漆器
女の子の場合、内側が朱塗りで外側は黒塗りの漆器を用意します。女の子に人気の模様は、華やかで縁起のいい「束ね熨斗(たばねのし)」や、花の種類で意味から選べる花模様(はなもよう)などです。
お食い初めメニューを手作りするポイント
近頃は、お食い初めを自宅で行う家庭が増えているため、手作りメニューへの関心も高まっています。
ここでは、お食い初めメニューを手作りする際のポイントをご紹介。初めて手作りに挑戦する方でも失敗なく、簡単かつ本格的な料理が仕上がるよう提案していきますので、ぜひ、ご参考ください。
鯛の塩焼きは焦げ目を調整してこんがり焼く
鯛は、「おめでたい」の意味がある縁起物です。塩とアルミホイルを使って焦げ目を上手に調整しましょう。
●手作りの手順とポイント
- ウロコと内臓を取った鯛を用意します。
- 鯛に塩をします。
- ヒレが焦げないようアルミホイルで覆います。
- 両面グリルは左向きで、片面グリルは右向きから焼きます。
- 焼け具合を見ながら頭部が焦げてきたらアルミホイルで覆います。
赤飯は炊飯器を使って簡単においしく
邪気払いの意味だけでなく、見た目も慶事にぴったりな赤飯は、炊飯器を使って簡単においしく仕上げましょう。
●手作りの手順とポイント
- もち米2合に対し、小豆30g、水800ml、塩少々を用意します。
- 小豆は軽く水洗いします。※分量外
- 水を鍋で沸騰させ、小豆を入れて弱火で15分ほど煮ます。
- 火を止めて5分間蒸らします。
- 小豆をザルにあけ煮汁と分けます。
- 煮汁を沸騰させ、別の鍋へ20回ほど交互に移します。
- 煮汁が冷めたら洗ったもち米と炊飯器へ投入します。
- おこわのメモリまで煮汁を注ぎ、塩を2つまみ入れます。
- おこわモードか通常モードでセットし炊飯スイッチを入れます。
吸い物は丁寧に出汁を取ってプロ仕上げ
お祝い膳に欠かせない蛤(はまぐり)の吸い物は、お食い初めの「一汁」としても定番です。
●手作りの手順とポイント
- 水1000ml、昆布15gを鍋に入れます。
- そのまま10分つけおきます。
- 砂抜きしておいた蛤をよく水洗いします。
- 蛤、水350ml、酒150mlを「2」と別の鍋に入れ強火にかけます。
- 昆布だけを入れた鍋を中火に5分かけます。
- 蛤が炊けたら出汁をこします。
- 昆布の出汁から昆布を抜き鰹節30gを入れます。
- そのまま火を止めて3分蒸らしてこします。
- 「6」の出汁400mlと「8」の出汁600mlを鍋で炊きます。
- 塩、しょうゆで味を調えます。
- 蛤は食べやすいようカットしてお椀にもっておきます。
- 出汁が炊けたら蛤のお椀に注ぎます。
- お好みで菜の花や三つ葉などを添えてもよいでしょう。
煮物は簡単な飾り切りで仕上がりが映える
たとえば前日に炊いておけば当日は盛り付けるだけ。さらに飾り切りテクを使って見映えのいい煮物を作りましょう。
●手作りの手順とポイント
- ニンジンが輪切りにして型抜きします。
- レンコンはうすく切り穴と穴の間をV字にカットします。
- しいたけは放射線状に3本切り込みを入れ両サイドから切り込みます。
- うす切りしたこんにゃくの中央に2cmの切れ目を入れて端を返します。
- きぬさやは斜め切りにします。
- ほかにも有頭海老や里芋など、お好みの具材を用意します。
- めんつゆや白だしを使って好みの味付けで煮つけましょう。
香の物に紅白なますを添えて縁起よく
梅干しのほかにも、縁起がいい紅白なますを添えると祝い膳が晴れやかになります。
●手作りの手順とポイント
- それぞれ5cmほどの大根とニンジンを千切ります。
- 軽く塩もみをし5分ほど置きます。
- お酢は大さじ3、砂糖は大さじ1、塩は1g、水は大さじ1を合わせます。
- 大根とニンジンの水気を切り、「3」の甘酢で和えて盛りつけます。
大人のメニューには寿司や刺身を加える
お食い初めメニューは、大人にとっては物足りないかもしれません。もしボリュームを出すなら、寿司や刺身を加えると食べごたえがアップします。
完全に手作りでなくても、買ってきたものを器に並べ替えるだけで食卓が豪華になるでしょう。
お食い初めメニューを手軽で伝統的に用意するなら
お食い初めの料理を「手軽に」、でも「伝統的に」用意したいのであれば、市販のセットやレストランのプランがおすすめ。
赤ちゃんの祖父母や親戚を招く場合はもちろん、赤ちゃんの慶事に特別感を持たせたい場合など、忙しいお父さんお母さんでもフォーマルにお食い初めを演出できますよ。
通販サイトには食器までセットになった市販品も
お食い初めの料理は通販サイトでも購入できます。男の子と女の子で食器を分けたものや、天然鯛や国内産の小豆を使った赤飯など、素材にこだわったもの、祝い膳を華やかにする飾りや色紙などのアイテムがついたものなど、1セット数千円~1万円までの予算でラインナップも豊富です。
お食い初めプランに対応したレストランがある
和食を提供しているレストランなら、お食い初めプランに対応している可能性があります。1名分の予算は数千円~1万円程度で、場合によっては記念品や写真撮影などの特典がついていることも。
レストランを選ぶ場合は、「個室があるか」「ベビーベッドがあるか」「おむつ替えルームがあるか」など、お食い初めを快適に過ごせるよう確認しておきましょう。お日柄のいい週末や祝日は予約が埋まりやすいため、早めに問い合わせておくのも大切なポイントです。
お食い初めメニューは意味や演出にこだわり準備しよう
お食い初めメニューには、それぞれ赤ちゃんの健やかな成長や幸せを願った意味があります。もともとの由来は平安時代の「百日の祝い(ももかのいわい)」で、赤ちゃんの無病息災を祈念した宮廷行事でしたが、長い年月を経て現代では一般家庭にも広まり、呼び名や意味も少しずつ変化してきました。
お食い初めの基本メニューは一汁三菜ですが、地域によって異なる食材が使われることもあります。ぜひ、メニューひとつひとつの意味を知り、お食い初めにふさわしい祝い膳を準備してくださいね。
手作りでもポイントを押さえると簡単に作れますし、市販品を使って本格的に仕上げたり、レストランプランを活用して伝統的なお祝いシーンを演出したり、ご家庭ごとのニーズに合ったメニューを決定しましょう。