これまで「成人の日」には成人式を催して新成人をお祝いしてきました。
成年年齢が引き下げられた2022年からは「はたちの集い」として成人式と同じような祝典が開かれるケースも増えています。
いずれにしても、初めて成人式を迎える方にとっては知りたいことがたくさんありますよね。
「そもそも成人式って?」
「成人式をやる意味は?」
「成人式では何をするの?」
「なぜ成人式では振袖を着るの?」
このような疑問を解決するため、本記事では以下の内容で解説します。
- 成人式の由来や意味
- 成人式の流れや例外的なケース
- 成人式に振袖を着る理由やルーツ
ぜひ、本記事を最後まで読んでいただき、成人式に向けた準備や心構えに応用してくださいね!
成人式とは?
これから成人式を予定している方にとっては、成人式がどんなものか気になるもの。
ここでは、成人式の由来から成人式をやる意味まで解説しますので、まずは予備知識として確認しておきましょう。
- かつて行われていた通過儀礼が由来
- 現在の成人式のルーツは「成年式」
- 以前は1月15日の「成人の日」に開催された
- 成人式をやる意味は大人への自覚と自立
それぞれ詳しく見ていきましょう。
かつて行われていた通過儀礼が由来
奈良時代以降の日本では、大人への通過儀礼として男子には「元服(げんぷく)」、女子には「裳着(もぎ)」と呼ばれる儀式が貴族社会を中心にして行われていました。
どちらも数え歳で12~16歳の子どもを対象に、髪型や服装を大人のものに変えて成人の仲間入りをし、これまでの成長を祝うのが慣わしでした。
江戸時代以降は女子の通過儀礼も「元服」となり、明治時代に成年年齢を「20歳」とする法律が決まる頃まで受け継がれてきました。
現在の成人式のルーツは「成年式」
昭和21年(1946年)、埼玉県蕨市で「青年祭」の幕開けに催されたのが「成年式」です。
当時、日本中に敗戦の混乱が続いていましたが、虚脱感にさいなまれていた次世代の若者を勇気づける目的で青年団によって企画されました。
会場には国民服やもんぺ姿の若者が集い、式典では町長らから激励されたり、成年の代表者が誓いを立てたりしたのですが、昭和23年(1948年)に「成人の日」が制定されたことから全国各地で「成年式」を手本にした祝典が行われるように。
なお、蕨市では「成人式発祥の地のまち」として現在でも「成年式」の名称のまま成人式を行っています。
以前は1月15日の「成人の日」に開催された
現在は1月の第2月曜日が「成人の日」となりますが、もともとは「1月15日」と決まっていました。
一説によると、成人式の由来となる「元服(げんぷく)」を旧暦で見た新年最初の満月に行っていたためです。
なぜ「成人の日」が第2月曜日に変わったのかは「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律(ハッピーマンデー法)」にもとづきます。
ただし、新成人の出席率を上げるため地域によっては「成人の日」ではなく、お盆休みやゴールデンウィーク、みどりの日などの祝日に行うケースもあります。
成人式をやる意味は大人への自覚と自立
昭和23年(1948年)に「成人の日」が制定されたのは、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という目的からです。
これまで両親や周囲の大人たちに守られてきた環境から自立し、大人社会への第一歩を踏み出すきっかけとして成人式があります。
はたちの集い=成人式では何をする?
これまで「はたち(20歳)」の節目として行われてきた成人式ですが、具体的に何をするのでしょうか。
- よくある式典の流れ
- ご当地ならではの成人式も
- 休めない新成人を社内でお祝い
ここでは、成人式の内容や特徴を紹介します。
よくある式典の流れ
- 主催者による開式宣言
- 市長や区長など自治体の首長からの式辞
- 都道府県議会議員など来賓による祝辞
- 新成人による代表者スピーチ、成人の誓い
- 主催者による閉式の挨拶
ほかにも、地域によっては専門家による講演、地元の中高生による合唱や演奏、新成人を対象にしたビンゴ大会などの催しもあります。
ご当地ならではの成人式も
成人式には地域色ゆたかなケースもあり、ご当地ならではの工夫がなされてきました。
- 千葉県浦安市……東京ディズニーランドが会場
- 大阪府大阪市……ユニバーサルスタジオジャパンが会場
- 大阪市阿倍野区……あべのハルカスでハルカスウォーク
- 千葉県成田市……成田空港が会場
- 千葉県鴨川市……鴨川シーワールドが会場
- 青森県、秋田県など……豪雪地帯では「夏」に成人式
地元に帰省する新成人はもちろん、地元で暮らす新成人にとっても、成人式で生まれ育った地域の特色を再認識できるのは人生の門出にふさわしいですね。
休めない新成人を社内でお祝い
祝日である「成人の日」でも営業している会社では、休めない新成人を「社内成人式」でお祝いするケースが増えています。
現在では「成人」=「社会人」というイメージもあるため、会社主催の成人式に出席することで社会人としての自覚や責任が強くなったり、仕事における目標も明確になったり。
社内成人式を開催する会社にとっても、全体としての組織活性化につながりますし、全世代が初心に戻れる貴重な機会にもなるのではないでしょうか。
成人式で振袖を着る理由とは
振袖姿は成人式の風物詩となっていますが、なぜ成人式で振袖を着るのか、その理由を見ていきましょう。
- 格式が高く未婚女性の第一礼装でもある
- 厄払いや柄で縁起をかつぐ意味もある
- 男性は振袖ではなく羽織袴を着るように
それぞれ詳しく解説します。
格式が高く未婚女性の第一礼装でもある
成人式はフォーマルな行事ですから、格式の高い第一礼装の振袖が好まれます。
また、明治時代からは未婚女性であることを示す意味もあるため、振袖は未婚女性の第一礼装として位置づけられるのです。
ちなみに、「振袖」の由来は男性からの求愛に答える動作が関係しています。もし、男性からの求愛を受け入れる場合は袖を左右に、断る場合は前後に振ったことから「振袖」に。
さらに現在の「振る」「振られる」の語源にもなっているのですが、かつては振袖が婚活シーンで活躍するコミュニケーションツールだったわけです。
厄払いや柄で縁起をかつぐ意味もある
振袖の長い袖を「振る」という動作には、「厄を払う」「その場を清める」「良縁を招く」などの意味があります。ちょうど、神社で神主さんが「お祓い棒」を使って厄払いするのも同じ意味です。
また、振袖にあしらわれる柄にも意味があり、たとえば「鶴」なら「長寿」「幸せを運ぶ」、「松竹梅」なら「しなやかに強く美しく成長する」、「亀甲紋」なら「親が娘の健康を願う」、「七宝」なら「人間関係を円満にし、周囲との調和をはかる」、「唐草紋」なら「子孫繁栄を願う」など。
大人への第一歩を踏み出す女性にとっては、結婚や出産、家庭といったテーマで縁起をかつぐ意味があるのです。
男性は振袖ではなく羽織袴を着るように
振袖のルーツとされる「小袖」は「振り八つ口」と呼ばれる着物で、かつては成人式の由来となった「元服」まで男子も着用していました。
現在では、男性の第一礼装として「羽織袴」が着られています。
羽織袴にも格式があり、最も格式の高いのが「黒五つ紋付羽織袴」で、次に格式が高いのは「色紋付羽織袴」ですが、着られるケースは少なくなっているものの、どちらも成人式に適した正装です。
成人式の服装については詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。
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成人式の意味や由来を知って大人になろう
成人式は古くから行われてきた通過儀礼が由来。もともとは貴族社会だけの儀式でしたが、時代を経て広く受け継がれてきました。
現在のようなスタイルの発祥は埼玉県蕨市で開催された「成年式」です。「成人の日」が制定されたことをきっかけに全国各地で成人を祝う式典が催されるようになりました。
一般的には祝辞を受けたり、新成人が誓いを立てたりなどしますが、ご当地ならではの企画で成人式への出席率を上げる工夫もされています。
古来、大人への仲間入りの証に髪型や服装を大人のものに変えたのが成人としての儀式でしたが、現在でも多くの女性が振袖を、男性によっては羽織袴を着て出席します。
伝統的な儀式と比べると簡略化されたり地域性によって変化したりなどする成人式ですが、「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という成人の日の意味を受け継ぎ、人生の新たな門出に立ちたいものですね。