接待で会食をすることになり悩むのが「座席」の位置ではないでしょうか。
どの席に座ってもらうのが相手に対して失礼のないマナーなのか接待の作法が気になるところ。
そこで本記事では、接待での会食にふさわしい席次をシーン別で紹介します。
座席の決め方の基本からシチュエーションに合わせた最適ポジションまで解説しますので、当日までの準備にご活用ください。
接待で会食するときの座席はどう決める?
ここでは、接待で会食をするときの座席決めを「基本」と「応用」に分けて解説します。
まず「上座」「下座」の基本を確認しておこう!
接待における座席決めで大切なのは「上座」と「下座」の位置関係です。「上座」にはゲストを配席し、ホストはゲストの序列に合わせて向き合う形で「下座」に着席します。
- ●出入口から最も遠い席が「上座」
- ●その場で最も快適に過ごせる席が「上座」
さらに「上座」「下座」の応用も把握しておこう!
出入口との位置関係以外にも「上座」とされる席の決め方があります。シチュエーションやロケーションなど接待シーンによって最適ポジションは異なりますので、「上座」のポイントを押さえておきましょう。
- ●和室に「床の間」がある……床の間の前が「上座」
- ●中から庭園や夜景が見える……窓の向い側が「上座」
- ●付近に絵画や調度品が飾られている……絵画や調度品が見える席が「上座」
- ●個室ではないオープン席……壁に背を向けられるのが「上座」
- ●長テーブルや3名以上で横に並んで座る場合……中央の席が「上座」
【シーン別】接待での会食にふさわしい席次
ここからは、お店、送迎車、新幹線などの座席を図解で確認しながら接待にふさわしい席次をシーン別で見ていきましょう。
●図解=「上座」から「下座」へと優先順で「1」から順番に番号を振っています。
あくまでも基本的な一例ですので、シチュエーションやロケーションなど接待シーンによって最適なポジションを見つけてください。
日本料理店の「和室」
和室では接待の対象者を「上座」に配席し、接待する側は先方の序列に合わせて向き合う形に着席します。
4人の場合
出入口から最も遠い席が「上座」です。「上座」の「1」に立場が最も高い人を配席しましょう。その隣、出入口に近くなる右側「2」に立場が2番目の人を付けます。接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席しましょう。
- ●4人席に「3人」で座る場合……接待する側が「2人」ならゲスト「1人」で「上座」に配席
- ●4人席にゲスト「1人」の場合……「上座」の「1」にゲスト(3対1のパターン)
- └ゲストの隣に接待する側で立場が2番目の人……「上座」の「2」
- └ゲストの向いに接待する側で立場が最も高い人……「下座」の「3」
- └その隣に接待する側で立場が3番目の人……「下座」の「4」
5人の場合
ゲスト2人を3人で接待する場合、出入口から最も遠い「上座」の「1」に立場が最も高い人を配席しましょう。その隣、出入口に近くなる右側「2」に立場が2番目の人を付けます。接待する側はテーブルを挟んだ向いに出入口から遠い順で立場の高い人から着席しましょう。
6人の場合
出入口から離れた側の席が「上座」です。3人以上が横に並んで座る場合は「上座」の中央にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」と立場の高い順に付けましょう。接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席します。
8人の場合
まず「上座」の中央の出入口から離れた席「1」にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」⇒その隣に「4」と立場の高い順に付けましょう。
接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席します。幹事など接待全体をエスコートする人は動きやすい「8」が最適です。
ゲストが3人の場合は出入口から最も遠い席である「上座」の中央にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」と立場の高い順に付けましょう。接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせます。
テーブルの形式によっては「7」と「8」をテーブルの両端に配置します。「7」や「8」は幹事や幹事補佐など接待全体をエスコートする人にとってふさわしい席次です。
10人の場合
出入口から離れた側の席が「上座」ですから、「上座」の中央にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」⇒左側「4」⇒右側「5」と立場の高い順に付けましょう。※12人以上の場合も同様の手順で席次を決めます。
接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席します。幹事など接待全体をエスコートする人は動きやすい「10」が最適です。
床の間がある場合
出入口から遠く床の間のある側が「上座」です。3人以上が横に並んで座る場合は「上座」の中央にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」と立場の高い順に付けましょう。
4人の場合は床の間側で出入り口から離れた席に立場が最も高い人を配席し、その隣に立場が2番目の人を付けます。
いずれの場合も接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席しましょう。
寿司店の「カウンター」
出入口から最も遠い席が「上座」となりますが、寿司職人から近い席が優先です。もし2人でゲスト2人を接待する場合は両端に座ってゲストを挟む形にするのがよいでしょう。
レストランの「テーブル席」
レストランでは出入口から最も遠い席が「上座」となりますが、壁に背を向けられる席を最上位の「上座」とします。個室であってもオープン席であっても「上座」の基本的な位置は変わりません。
レストランの「ソファー席」
ソファー席も出入口から最も遠い席が「上座」となるのが基本です。個室であってもオープン席であっても壁に背を向けられる席を最上位の「上座」とします。また、座席の形状によって「格」が変わるため、配席のときの参考にしてください。
- ●ソファー(長椅子)……最上位
- ●アームチェア(ひじ掛け付き)……2番目
- ●アームレスチェア(ひじ掛けなし)……3番目
- ●スツール(座面のみ)……4番目
中国料理店の「円卓席」
出入口から最も遠い「上座」にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。個室であってもオープン席であっても壁に背を向けられる席を最上位の「上座」とします。
配席順は「上座」の「1」から見て左側「2」⇒右側「3」⇒左側「4」⇒右側「5」と立場の高い順に付けましょう。少人数の場合は間隔を空けたり、円卓席の上半分だけを使ったりします。
店内からの「眺めがいい席」
店内から夜景や庭園、オーシャンビューなどが見える場合は出入口から近くても窓が見える席を「上座」としましょう。
3人以上が横に並んで座る場合は「上座」の中央にゲストの中で立場が最も高い人を配席します。配席順は「上座」の最上位から出入口の位置関係に合わせて立場の高い順に付けましょう。
接待する側はテーブルを挟んだ向いに先方の序列に合わせて着席します。
宴会場の「長テーブル」
宴会場では中央になるほど「上座」で、舞台や演台に近いほど「上座」の順位も高くなります。接待の内容やゲストとホストの人数バランスにもよっても最適な配席は異なります。
人数バランスが半々程度の場合
たとえば社内メンバーと社外ゲストのバランスが半々程度なら上記のように「中央」と「前方」を「上座」とし、その序列に合わせて接待する側を向き合う形で配席しましょう。
ほぼ全員がゲストの場合
感謝祭やイベントなど、ほぼ全員がゲストである場合は「中央」から「外」へ、「前方」から「後方」へと席の優先度をつけながら配席しましょう。
送迎用の「車」
接待での会食に送迎車を用意するときは、どのような「車」に乗るかで「上座」が異なります。
タクシーの場合
タクシーでの送迎は運転席の後ろを「上座」とします。3人で後部座席に乗る場合は真ん中が「下座」になり、4人で乗車する場合は助手席が「下座」となります。
社用車の場合
社用車の場合は助手席を「上座」とし、3人で後部座席に乗る場合は真ん中を「下座」とします。ただ、誰が運転するのかによっても上座の優先順は変わりますので、最も快適に過ごせる座席を「上座」として臨機応変に配席しましょう。
新幹線の「座席」
新幹線での移動をともなう場合は窓側を「上座」、通路側を「下座」として席順を決めます。それぞれ出入り口のドアから遠い席を「上座」の上位として配席しましょう。
3人掛けの場合
3人掛けの場合、「窓側」⇒「通路側」⇒「中央」の順で優先度が変わります。場合によっては「1」の隣に「2」を付けて会話を弾ませる必要もあるでしょう。
4人掛けの場合
出入口から最も遠い窓側が「上座」となりますが、進行方向に向かって座れることも条件となります。場合によっては「2」と「3」を入れ替えて「接待する側」と「接待される側」が向き合って座ってもかまいません。
まとめ
接待で会食をするときは、まず出入口を基準にした「上座」と「下座」の位置を押さえてゲストを配席しましょう。また、「接待する側」と「接待される側」の人数バランスを考えながら最適な席順を割り振ります。
さらに、テーブルの形状や会場のスタイル、ロケーションなどによってもベストポジションは異なりますので、ゲストの過ごしやすさなども考慮しながら席次を考えましょう。
本記事では、接待にふさわしい席次について、お店、送迎車、新幹線などの座席を図解にしながら紹介しました。ぜひ、本記事を参考にしながら接待当日までの準備にお役立てください。
尚、接待に役立つ「お酌マナー」「服装マナー」について詳しく書かれた関連記事もありますので、よければ今後の準備に役立つよう合わせてご覧ください。