会食するときの開始時間や所要時間は?労働時間にあたる条件まで徹底解説

取引先への接待などで会食を設定するとき、何時ごろから始めればいいのかどれくらいで切り上げるものなのか、気になりますよね。

また、仕事の一環として会食するのであれば、労働時間にあたるのか残業代はつくのかなどの疑問もあるのではないでしょうか。

本記事では、ビジネス会食にまつわる「時間」をテーマに開始時間や所要時間の目安、労働時間にあたる条件について解説します。

さらに、接待会食にふさわしい「お店」の選び方や接待会食での「マナー」も紹介しますので、ぜひ会食準備の参考にしてください。

会食とは?

会食とは二人以上で食事をすること。「会食」=「接待」と混同されることもありますが、法事や慶事での会食など接待以外での場面もあります。たとえば取引先や得意先との会食が接待にあたります。

接待には「もてなし」という意味があるため、たとえば社内の同僚や上司との会食は接待とはいいませんが、まれにしか接することがない幹部や役職者などの上位者との会食は接待という場合もあります。

会食の平均的な「開始時間」と「所要時間」

経営者JP総研が行った「エグゼクティブの“飲み会・会食”に関する意識調査」によると、会食の開始時間は「19:00」が最多の63.6%で次に「18:00」が27.1%という結果でした。終了時間についての回答が「21:00」の33.6%、「22:00」の33.2%という結果から、平均的な所要時間の目安は「2時間~3時間」が望ましいとわかります。

仮に一次会に19:00から2時間をかけたとすると終了が21:00ですから、そのまま二次会に流れたとしても終電まで2時間~3時間は過ごせます。会社の終業時間にもよりますが、夕食にふさわしい時間帯や帰宅のことを考えると、一次会は「18:00」「18:30」「19:00」「19:30」あたりの時間に開始するのがベターといえるでしょう。

参照:エグゼクティブの“飲み会・会食”に関する意識調査|経営者JP総研

会食の時間は「労働時間」にあたるのか?

会社から取引先の接待を頼まれたり、上司や幹部との飲み会に誘われたりした場合、「それって労働時間?」「ちゃんと残業代はつく?」といった疑問がわくかもしれません。実際、ビジネスに関連した会食時間は労働時間にあたるのでしょうか。

会食時間が労働時間にあたるかどうかは、相手が仕事関係者であるかどうか、業務時間内での実施であったかどうかだけではなく、会食の内容や経緯なども関係してきます。労働時間の定義は労働基準法などに明確に規定されていないため、会食時間を労働時間として残業代の対象にするかどうかは、まず会社ごとの判断になります。

これまでの司法判断を参考にすると、労働時間とは「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、会食など労働者の行為が「使用者の指揮命令下に置かれたものとされるかどうか」がポイントとなります。

ビジネスにおける会食といっても当人同士が個人的に親睦を深めるためだけに行う飲み会から、商談や契約など仕事における重要度が高い目的での接待まで幅広いため、業務との関連性、会社からの拘束性や強制性などによって労働時間にあたるかどうかが決まります。

接待会食にふさわしい「お店」の選び方

接待での会食時間は限られていますから、お店選びの段階から十分な準備をしていきましょう。

ここでは、接待会食にふさわしい「お店」の選び方として7つのポイントを紹介します。

  1. 相手に都合がいいアクセスを考える
  2. 落ち着いて過ごせるよう個室を予約する
  3. 相手の好みや食べやすさに合わせた料理にする
  4. お酒もノンアルもドリンクの種類にこだわる
  5. NG食材に対応してくれる飲食店を選ぶ
  6. たばこを吸う人にも吸わない人にも配慮する
  7. 接待会食の目的にかなった設備の有無を調べる

それぞれのポイントを確認していきましょう。

相手に都合がいいアクセスを考える

接待の場合は相手の「訪れやすさ」「帰りやすさ」を考えたアクセスを重視しましょう。

ポイント
・相手の仕事帰りであれば相手の勤務地に近い場所がよい。
・相手が車で来店する場合は店や近隣に駐車場があるか。
・相手が出張などの帰りに新幹線を利用するなら駅の近くがよい。

落ち着いて過ごせるよう個室を予約する

たとえ少人数であっても、接待では個室を予約してプライベート性を確保しましょう。

ポイント
・仕切りやロールカーテンだけの半個室ではなく部屋タイプの完全個室がよい。
・靴の着脱や正座など相手の負担になるので座敷になっているタイプは避ける。
・個室を利用する場合の使用料が別途かかるのかどうか確認しておく。

相手の好みや食べやすさに合わせた料理にする

料理は相手の好みや食べやすさを考えながらリサーチ力を生かして選びましょう。

ポイント
・和食、中華、洋食など相手の好みのジャンルを事前にリサーチしておく。
・特に相手の好みでない場合はマナーが細かいフランス料理や食べにくいカニ鍋などを避ける。
・接待に集中できるようコースがのぞましいが滞在時間の制限がないか注意する。

お酒もノンアルもドリンクの種類にこだわる

相手の好みの種類が豊富にあるか、ドリンクのラインナップを確認しておきましょう。

ポイント
・お酒が好きな相手の場合、ビールや焼酎といったジャンルのほかに好みの銘柄もリサーチしておくと喜ばれる。
・お酒が飲めない相手のために、ウーロン茶やジュース以外にもノンアルコール系のドリンクが充実しているか。
・飲み放題には、お互いに飲み過ぎて大切な話がしづらくなったり、時間制限があったりなどのデメリットもある。

NG食材に対応してくれる飲食店を選ぶ

あらかじめ相手や同席する上司のNG食材を聞いておき、お店には対応可能かどうか確認しましょう。

ポイント
・苦手食材、アレルギー食材はないか、あれば食材はなにか。
・塩分や糖質など食事制限はしていないか、あれば可能な範囲は。
・体調を理由にドクターストップがかかっている食材はあるか。

たばこを吸う人にも吸わない人にも配慮する

相手が喫煙者か非喫煙者か確認した上で、お店の対応を詳しく確認しましょう。

ポイント
・相手が喫煙者の場合は喫煙可能店や喫煙席、喫煙所ブースを完備した場所を選ぶ。
・相手が禁煙者の場合は完全禁煙店や禁煙席、喫煙所ブースを完備した場所を選ぶ。
・相手の嗜好を優先しながら同席する上司の嗜好もクリアできる条件で折り合いをつける。
・喫煙可能店では「加熱式たばこ専用」などと条件がないか詳細を調べておく。

接待会食の目的にかなった設備の有無を調べる

会食の目的によっては、必要な設備が揃っているかも確認しておきましょう。

ポイント
・商談の予定があるなら資料やパソコンが置ける広めのテーブルであるか。
・大規模な会場でプレゼンの予定があるならプロジェクターやスクリーン、マイクなどがあるか。
・イベント性のある会食なら音響設備や照明、スクリーンなど舞台演出に関わるものがあるか。

接待会食での気をつけたい「マナー」

接待会食での時間マナーは「遅刻厳禁」ですが、相手を不快にさせないための大切なマナーがほかにもあります。

ここでは、接待でのマナーについて、会食の場面ごとにポイントをまとめていますので、当日までの参考にしてください。

場面マナーポイント
着席・接待の相手を出入口から最も遠い「上座」に配席する。
・上司が同席する場合は相手の正面に立場順で配席する。
食事始め・相手が食事に箸をつけてから自分の食事に手をつける。
・相手が遠慮しているときは「温かいうちにお召し上がりください」「お料理はお口に合いますでしょうか」など、箸がつけやすくなるよう促す。
食事途中・相手の料理が残っているのに次々と料理が運ばれていないか。
・空いている皿がいつまでも下げられず残っていないか。
お酌・ビール瓶、ワインボトル、とっくりは両手でお酌をする。
・お酌をされた場合、飲めないときでも口だけつけて丁寧に対応する。
ドリンク追加・お酌は相手に「もう一杯いかがですか?」と確認し、了解を得てから注ぐ。
・オーダーの前に「お替わりはいかがですか?」「なにを飲まれますか?」と確認する。
気遣い・おしぼりの替えを適度に店員にお願いする。
・お酒を和らげるため「お冷や」を一緒に頼んでおく。
・すべての料理が出た頃、人数分のお茶を淹れてもらう。
会話・お店の特徴や料理のこだわりなどを店員に聞いておく。
・仕事の話以外にも時事ニュースや季節のトピックなど話題をインプットしておく。
支払い・伝票を席に届けないよう入店時に店側に頼んでおく。
・相手に見えないところでタイミングを図りながら済ませる。
帰り・相手に「帰り方」や利用する「最寄り駅」などをたずねる。
・タクシーや代行運転など相手に必要な手段を手配する。
手土産・手土産を渡すのは店を出る直前やタクシーに乗る直前の帰り際がよい。
・相手が遠慮しないよう「お好きだと伺ったので」「ぜひ召し上がっていただきたくて」と添える。
見送り・見送りのときは「本日はありがとうございました」とお礼を述べて頭を下げる。
・相手や相手のタクシーが見えなくなるまで立ち止まったまま見届ける。

尚、接待における座席マナーについては詳しく書かれた関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。

【図解】接待の座席マナー&ふさわしい席順や座り方

まとめ

ビジネス関係での会食は、一次会だけを考えれば開始時間は18:00~19:30の中でスタートし、2時間~3時間で切り上げるのが一般的な傾向です。接待をする場合は相手の都合に合わせ、負担のない時間帯や所要時間でもてなすようにしましょう。

また、会食時間が労働時間とみなされて残業代がつくかどうかは業務時間に関係なく、会食の内容や経緯、業務との関連性、会社からの拘束性や強制性などによって総合的に判断されます。もし会社から仕事の一環として指示されたものなら、上司や担当者に確認するといいでしょう。

これから会食を設定する場合は、ビジネス会食における「時間」をテーマにまとめた本記事を参考にしつつ、お店選びや当日のマナーなども役立ててくださいね。