ふたりが結婚を決めたら、次は「結納」や「顔合わせ食事会」をどうするか気になるところ。
それぞれ何をやるのか、どちらも行うべきか、ほかのカップルはどうなのかなど、いろいろな疑問がありませんか?
「そもそも結納って?」
「みんな結納やってるの?」
「結納と顔合わせ食事会はどう違う?」
「結納するときの準備や流れが知りたい!」
「結納するかどうかを判断するには?」
このような結納にまつわるテーマを解決するため、本記事では以下の内容で解説します。
- 結納の由来や方法
- 結納と顔合わせ食事会との違い
- 結納するカップルの割合や目的
- 結納までの準備と当日の流れ
- 結納するメリット・デメリット
ぜひ、本記事を参考にして、ふたりのニーズに合うスタイルで結納や顔合わせ食事会を準備してくださいね。
結納とは?
結納は、一般的に親への挨拶を終えてから行う慶事ですが、ここでは具体的な内容について触れておきましょう。
- 古くから行われてきた伝統的な婚約儀式
- 結婚を申し込む際の「結いもの」が由来
- 結納には「正式結納」と「略式結納」がある
それぞれ詳しく解説します。
古くから行われてきた伝統的な婚約儀式
結納とは4~5世紀から行われてきた日本特有の婚約儀式で、結納品や結納金の受け渡しによって婚約を成立させる伝統的な慶事。
まさに「結納」=「結い、納める」という言葉の通り「両家の縁が結ばれて1つの家族として納まる」わけですが、結納品に目録を添えて渡したり、受け取った結納品を確認して受書(うけしょ)を返したり、両家の共同作業によって運ばれるのも特徴です。
結婚を申し込む際の「結いもの」が由来
結納の由来には諸説ありますが、有力なものとして「結いもの」という言葉が語源となった説があります。
古来、「結いのもの」とは両家が婚姻関係を結ぶお祝いの席で飲食する酒や肴(さかな)のこと。
現在でも結納の席に酒のほか昆布やスルメを用意することから有力視されています。
仁徳天皇の婚約を機に始まったとされる結納は時代とともに形式を変えながら庶民の間にも広まりましたが、「結いもの」は儀式に欠かせない品物として現代でも受け継がれているのです。
結納には「正式結納」と「略式結納」がある
上記では、正式結納と略式結納の大きな違いを比較しています。
正式結納では仲人が結納品を届けるため両家を行き来しますが、基本的に略式結納では仲人そのものが不要です。
仲人の存在によって両家が顔を合わせない形になる正式結納に対し、略式結納では両家がホテルや料亭などの会場で顔を合わせ、食事もともにします。
また、結納品の数や当日の服装にも違いがあり、総じて正式結納の方が伝統的かつ高フォーマルなのも一目瞭然。
時代の変化にともなって形式も変わってきた結納ですが、現代では簡略化された略式結納を行うケースが増えています。
結納と顔合わせ食事会との違い
上記の比較表からわかるように、結納は正式な婚約を目的とした儀式ですが、顔合わせ食事会は両家の親睦を深めるための食事会です。
また、結納品の有無もポイントで、顔合わせ食事会では結納品とは違う婚約記念品の交換があります。
場所については結納の場合、伝統的儀式を行うにふさわしいフォーマルな会場が主ですが、顔合わせ食事会は自由度が高いためレストランや居酒屋などのカジュアルな会場を選ぶカップルも。
どこで行うかで服装も決まるため、結納と顔合わせ食事会で差が出るというよりは会場に合わせた装いになります。
- ホテル、料亭、式場など……和装、ブラックスーツ(男性)、フォーマルドレス(女性)
- レストラン、居酒屋など……ダークスーツ(男性)、スーツやアンサンブル(女性)
結納するカップルの割合は?目的は?
参考:マイナビウェディング
これから「結納」にするか「顔合わせ食事会」にするか、あるいは両方やるかを選択するカップルにとって参考となるデータや結納の目的を見ておきましょう。
結納するカップルは「29.5%」というデータ
マイナビウェディングが既婚男女298名にアンケートを行ったところ、結納したカップルは29.5%だったとわかりました。
そのうち「両方した」というカップルは21.1%で、結納の簡略化や省略化が進んでいるとはいえ一定数のカップルは伝統的な婚約儀式を重んじていると見てとれます。
結納する目的は「正式な婚約」によるけじめ
結納するカップルの目的は「正式な婚約」によって結ばれるというステータスにあります。
結納に結婚ほどの社会性はなくても、結婚を前提にした正式な婚約として社会的に認められる関係になるからです。
ふたりを互いに正式な婚約者とすることで関係性が深まり、結婚への「けじめ」にもなります。
結納当日までに必要な準備
ここでは、結納に必要な準備について確認していきましょう。
日取り
日取りは、結婚式の半年前を目安に決めましょう。
結納にふさわしいのは「吉日」です。
- 大安(たいあん)……結納に最適な日
- 友引(ともびき)……慶びごとを分かち合うのに適する日
- 赤口(しゃっこう・しゃっく)……午後12時頃のみ吉
- 先勝(せんしょう・さきがち)……午前中のみ吉
- 先負(せんぶ・せんまけ)……午後からが吉
日取りを決めるとき、大安に都合がつかなくても別の吉日で調整できます。
一般的に慶事は午前中に行われますが、どうしても午後しか予定が合わない場合は吉日に注意して日を選びましょう。
場所
結納の場所は伝統的な慣わしに沿うなら新婦の実家や地元の会場が好ましいですが、一般的には両家の中間地点や新婦の居住地付近で行われます。
会場としてふさわしいのはホテルや料亭、式場です。フォーマル度の高い会場は結納の準備を熟知していたり、結納を行うのに適した部屋を備えているからです。
場合によっては「結納プラン」「晴れの日プラン」などに対応していますので、場所を選ぶときは確認してみましょう。
結納の形式
仲人を立てて両家の実家で行うなら「正式結納」になりますし、仲人を介さず両家が集まって行うなら「略式結納」になります。
さらに、お互いが結納品を交わす関東式と男性だけが結納品を届ける関西式とでも違いますので、地域性や家の慣わしも考慮して形式を決めましょう。
結納品
結納品には「昆布」「スルメ」などの縁起物、「お酒代」「お食事代」などの現金、「末広(すえひろ)」「友白髪(ともしらが)」などの「ふたりの末永い幸せ」をテーマにした飾り物などがあります。
結納品の数や種類、飾り方は正式と略式で、また関西と関東でも違いがあるため、両家で「どの形式で行うか」を話し合っておきましょう。
尚、結納品の内容や関東と関西での違いについては詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。
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結納金
結納金は結納品に含まれるもので、女性に「お嫁入りの準備をしてください」との意味で渡しますが、婿養子の場合は女性から男性に渡します。
結納金に決まった額はありませんが、一般的には準備する側の収入や貯蓄、資産、社会的立場などに応じて決められる傾向です。
結納金の相場や包み方、ふさわしい紙幣の種類については詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。
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結納返し
結納返しとは、結納品へのお返しとして受け取った側から贈られる品物や現金のことです。
本来は結納の後に贈りますが、現代ではスケジュールの関係で結納の当日に用意するのが一般的。
古来、関東式では「半額返し」が、関西式では「1割程度」「なし」が慣わしですが、現在は両家で相談して決めることが多いようです。
結納返しの品物や現金相場については詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。
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婚約記念品
結納品の受け渡しがない略式結納でも婚約記念品は必要です。
一般的には宝飾品を交換する傾向にあり、女性へは「指輪」が、男性へは「腕時計」が贈られます。
ほかにも、女性に「ネックレス」「腕時計」を、男性に「スーツ」「財布」「希望のもの」など贈るケースも。
関西式の結納では「指輪」が結納品になるため、目録を作成して渡します。
当日までに現物が仕上がらないときも目録で渡してかまいません。
目録と受書(うけしょ)
目録は結報品の内容が書かれたもの、受書は結納品を受け取った証として渡す受領書のようなもの。
目録にも受書にも、項目や順番など結納にふさわしい書き方があります。
目録と受書については詳しく書かれた記事がありますので、よければ合わせてお読みください。
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家族書
家族書とは、両家の家族構成を一覧で記したもの。それぞれの「家」と「家」を結びつけるため、お互いの家族について書にしたためます。
家族書には両親や兄弟のほか同居している家族などを書くのですが、書き方としては「縦書き」で右から立場順に、項目は「続柄」「フルネーム」「生年」「最終学歴」「勤務先」などです。
■例:父 山田太郎 昭和三十七年生 〇〇大学〇〇学部卒業 〇〇株式会社〇〇部課長
ぜひ、上記の動画も参考にしてください。
服装
一般的に格の高い順で「正礼装」→「準礼装」→「略礼装」を装います。
- 正礼装……モーニング・タキシード(男性)、振袖(女性)
- 準礼装……ブラックスーツ(男性)、訪問着、フォーマルドレス(女性)
- 略礼装……ダークスーツ(男性)、アンサンブル・ワンピース(女性)
どのような服装にするかは場所によって変わりますが、会場の格と服装の格を合わせたり、両家で格を揃えたりしましょう。
和装と洋装を揃える必要はありませんが、どんな服装にするか両家で伝え合い、バランスを取るのもポイントです。
結納当日の一般的な流れ
結納には決まった流れがありますので、正式結納と略式結納の一般的な流れを確認しておきましょう。
正式結納の流れ
正式結納では仲人が上座に着席し、女性からも結納品を渡す関東式では本人の横に飾ります。
- 床の間(上座)に結納品を飾っておく。
- 仲人が男性宅で口上を述べて結納品を受け取る。
- 仲人が女性宅で口上を述べ、男性側の結納品を渡す。
- 仲人は女性側から受書と結納品を受け取る。
- 仲人は男性宅へ戻り、口上を述べて女性側の受書と結納品を渡す。
- 仲人は男性側から受書を預かる。
- 仲人は女性宅へ戻り、口上を述べて女性側の受書を渡す。
- 女性側は仲人を酒席でもてなし、お礼金(酒肴料)を渡す。
※関西式は男性側から女性側のみで④では結納品を受け取らず⑥⑦⑧も不要です。
※関西式では女性側から男性側への受書を省略する場合もあります。
略式結納の流れ
略式結納の席順は、誰が「主体」なのかで違ってきます。
親主体なら男性の父が上座に着席し、本人たちが主体なら男性自身が上座に着席しましょう。
- 床の間(上座)に結納品を飾っておく。
- 両家が揃ったら始まりの挨拶をして着席。
- 男性側から結納品を渡し、父親か本人が口上を述べる。
- 女性側が男性側の目録に目を確認し受書を渡す。
- 女性側から結納品を渡し、父親が口上を述べる。
- 男性側が女性側の目録に目を確認し受書を渡す。
- 婚約記念品の披露と交換をする。
- 男性側が締めの挨拶をし、会食する。
※一般的に男性側の父親が進行します。
※仲人を介する場合は仲人が結納品を渡して口上を述べます。
※関東式の場合は男性と女性を入れ替えて⑦の前に再度➂~⑥を行います。
尚、結納で述べられる「口上」では以下のような決まり文句を使います。
「〇〇よりの結納の品(受書)でございます。幾久しくお納めください」
「ありがとうございます。幾久しくお受けいたします」
「(受書を確認)相違ございません。お受けいただきありがとうございました」
結納する場合のメリット・デメリット
結納は古くから行われてきた伝統的な婚約儀式ですから、結婚への前段階として「できれば取り入れたい」と思うカップルの希望もあるでしょう。
一方で、格式の高さがネックになって「なんだか気が進まない」と悩むカップルの本音もあるかもしれません。
ここでは、「結納したいけど悩んでいる」「結納するかどうか迷っている」というカップルに結納のメリット・デメリットを紹介しますので、ぜひ、最終的な判断材料のひとつにしてくださいね。
結納するメリット
結納のメリットについて、先輩カップルの声を参考にポイントを分析しましょう。
6月交際開始→9月プロポーズ→10月親挨拶→11月彼親挨拶→12月両家顔合わせ.式場決定→1月結納→3月結婚入籍→4月同居
毎月何かしらあって忙しかったなあ、交際3ヶ月のスピード婚だったから、すぐ入籍とかじゃなくてちゃんと段階踏むことで、両親にも自分達の気持ちの強さとかけじめを示せてよかった☺️— やよい☺︎🕊🐶 (@yayoi841000) February 18, 2022
先日、無事に結納を終えることが出来ました😌古くさいと思われるかもしれないけど、私自身「結婚は家同士の結びつき」という思いが強いので、こうして昔から続いている伝統的な婚約の儀式を行うことが出来たのが嬉しかった✨これで正式に彼の婚約者になったのかと思うと感慨深いね…
— るちか (@Lucc1ca_Lucc1ca) February 2, 2021
結納のメリットを示すキーワードとして「けじめ」「気持ちの強さ」「家同士の結びつき」「伝統的」「正式」などがあります。
古くから伝わる儀式だからこそ非日常の「新鮮さ」が味わえ、結婚へのステップとして特別な実感がわくのかもしれませんね。
結納するデメリット
結納のデメリットについて、先輩カップルの声を参考にポイントを探りましょう。
田舎のしきたりで思い出したけど私の結納の時、飾りの支度できたらそれを地域の人を招いてお披露目するっていうのもやった…今はどうなんやろ。先に仲人夫妻、相手の両親呼んで結納済ませた後日それをしなくちゃならなくてほんと面倒だった。
— data&fuku (@data_fuku) January 26, 2022
自分たちが良くても、田舎育ちなので尚更、結納は必ずしないとダメだとか色々決まりごとが多くて。泣
相手の親にも無理言って協力してもらわないといけないこと多くてほんと申し訳ない…— ちゃんれー (@riri8181) October 4, 2017
結納のデメリットになりそうなキーワードとしては「しきたり」「決まりごと」「面倒」が挙げられます。
やはり格式の高い儀式なだけに、地域による風習の違いや家ごとの慣わし、準備の大変さ、特別な作法などに戸惑うカップルも。
デメリットを解消するには、親に相談したり、家族に協力してもらったり、事前に準備や流れを調べたり、ゆとりをもって整えていくことが大切です。
ふたりに合う結納や顔合わせ食事会を婚約儀式に
結納は、日本で1600年以上も前から行われてきた婚約儀式。お祝いの席に欠かせない酒や肴(さかな)を「結いもの」と呼んだことに由来したり、両家を結んで家族として納めるという意味があったりします。
伝統的な慶事でありながら時代とともに形式が変化し、現代では簡略化によって「略式結納」「顔合わせ食事会」を婚約の儀式とするケースも増えています。
ここで簡単に正式結納と略式結納の違い、顔合わせ食事会との違いをおさらいしておきましょう。
- 正式結納……仲人が両家を行き来し結納品の受け渡しをする。
- 略式結納……仲人は不要で両家がホテルや料亭に集まり結納品を交わす。
- 顔合わせ食事会……結納品ではなく婚約記念品を交換し、食事の席で両家の親睦を深める。
近頃では、結納するカップルは3割弱で、結納しないカップルが約7割と多くなっています。
結納は格式が高く、服装や作法にもマナーがあり、事前に特別な準備も必要なため堅苦しいイメージをもたれがちですが、伝統文化が体感できたり、両家の絆が強固になったり、正式な婚姻として社会的にも認められたりとメリットもあります。
もし、「結納したいけど悩んでいる」「結納するかどうか迷っている」というのであれば、本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ、ふたりのニーズに合うスタイルを見つけてくださいね。