一周忌法要を家族だけ行うときの準備とマナー

故人の一周忌を迎えるにあたって、法要をどうするかご検討中でしたら本記事をご活用ください

「一周忌法要はやるべき?家族だけでもいい?」
「お坊さんを一周忌法要に呼ばないってどうなの?」
「お布施や服装など一周忌法要に必要なマナーは?」

このように一周忌法要にまつまる悩みや疑問があれば本記事を参考にしながら解決しましょう。

◆この記事でわかること
  1. 一周忌法要を家族だけで行う場合の考え方について
  2. 一周忌法要の流れや当日までに必要な準備について
  3. お布施相場や書き方&渡し方、服装のマナーについて

ぜひ、本記事を活用していただき、どのようにして一周忌法要を行うかのご判断にお役立てください。

一周忌とはいつ?一回忌との違いは?

一周忌とは故人の命日から満1年の祥月命日を迎えることです。

命日とは
故人が亡くなった日を含めて○日目(○年目)にあたる日。※「故人が亡くなる前日」から数える地域もあり。

満1年の節目は、「一回忌」か「一周忌」かの違いがわかりにくいため数え方や考え方を確認しておきましょう。

回忌故人が亡くなった年を含めて数える。
周忌故人が亡くなった年を「0」として、命日を迎えるたびに1年ずつ加えて満年数で数える。

つまり、故人が亡くなったその日が「一回忌」の命日となり、満1年の節目は「二回忌」にあたりますが、仏教では奇数を重んじるため「二回忌」とはせず「一周忌」とします。

一周忌法要は家族だけでもいい?

結論として、一周忌法要を家族だけで行ってもかまいません。家族の生活習慣や宗教観などが多様になっている現代では、法要の行い方も家ごとで違います。

ただ、故人が亡くなってから最初の年忌法要を迎える大切な節目ですので、親族間で相談しながら法要の形式を検討することが大切です。

一周忌法要にお坊さんを呼ばないのはどう?

一周忌法要を行うとき、お坊さんを呼ばないこと自体は問題ありません。お坊さんに法要を依頼するのは仏教にもとづいたものです。

仏教以外の宗教を信仰していたり、特に信仰している宗教がない無宗教であったりする場合は遺族や親族だけで供養できます。

一周忌法要はやらなくてもいい?

そもそも、一周忌法要は故人とゆかりのある人たちが集まって故人を偲び、故人の冥福を祈るための供養が目的です。宗教的価値観や形態にこだわらないのであれば、一般的な形式での法要を行わなくてもかまいません。

たとえば、故人宅に遺族だけで集まり、仏壇にお供えをしたり線香を上げたりするだけでも供養はできます。また、故人との思い出話をしながら会食をすることも供養です。

とはいえ、どのようにして故人の一周忌を迎えるかについては親族間で相談しながら決めるようにしましょう。

一周忌法要を行うときの一般的な流れ

ここでは、一周忌法要を行うときの一般的な流れを見ていきましょう。

一周忌法要の流れ
  1. 僧侶をお迎え
  2. 施主からの挨拶
  3. 僧侶の読経
  4. お焼香
  5. 僧侶からの説法
  6. お墓参り ※行う場合
  7. 施主からの挨拶
  8. お斎(おとき)※会食

もし、「家族だけ」「お坊さんなし」という形式で一周忌法要を行う場合は、どのような流れにするかも含めて親族間で話し合っておきましょう。

一周忌法要でお坊さんに渡すお布施相場

お布施とは遺族や施主の「気持ち」で行うものですから、厳密に金額が決められているわけではありません。

一般的には、一周忌法要の場合は3万円~5万円とされています。

お布施相場
3万円~5万円

お布施相場は、お寺や宗派、地域によっても違いがありますし、納骨式や開眼法要を一緒に行う場合でも変わってきます。

また、お布施以外にも、お坊さんには御車代、御膳料などを渡す場合があります。

お布施以外の費用内容相場
御車代お坊さんに出向いてもらったときに渡す交通費5千円~1万円程度
御膳料お坊さんが会食に出席しない場合に渡す食事代5千円~1万円程度

お布施など、お坊さんに謝礼を渡す場合は参列者が多くても施主一人だけでも金額に差がありませんので、お寺にたずねたり、親族に相談したりして適切な金額を用意しましょう。

お布施を一周忌法要で渡すときのマナー

ここでは、お布施を一周忌法要で渡すときの書き方や包み方のマナーについて紹介します。

お布施は「香典」とは異なりますから、お札の向きや準備物に注意して用意しましょう。

お布施の書き方

お布施は香典のように不祝儀袋に入れる必要はないので白無地の封筒に入れましょう。

ただし、二重になったものは「不幸が重なる」の意味になるため、やや厚手の一枚ものを選ぶようにしましょう。

表面・表書き……「御布施」「お布施」
※「御膳料」「御車代」「御戒名料」などは別に用意する。
・名前……フルネーム、○○家
※連名は3名まで、4以上の場合は「代表者氏名 他○名」と書く。
裏面・金額……旧字体を使い、「金 〇〇萬圓 也」と書く。
・住所……金額の右横に、やや小さめの字で書く。

封筒の表面には「御布施」か「お布施」とした表書きと喪主や施主のフルネームか「○○家」を、裏面左には住所と金額を書きます。

もし連名で渡す場合は3名までの名前を並べて書き、4名以上の場合は代表者氏名とともに「他○名」と書きましょう。金額を書くときは「金 ○萬圓 也」など旧字体を使いましょう。

お布施以外に「御膳料」「御車代」「御戒名料」も渡す場合は、それぞれ別々の表書きで用意しておくか、まとめて「御礼」として渡します。

表書きのNG
お布施の場合は「志」「寸志」「薄謝」「御礼」「供養料」「御経料」「読経御礼」などとしないように注意しましょう。

お布施の入れ方

お布施は香典ではありませんので、お札は結婚式などの慶事と同じ向きにして新札か使用感の少ないピン札を入れましょう。

お札の入れ方・お札の人物画を封筒や不祝儀袋の「表側」「上側」にする。
※香典とは逆向きなので注意。
・お札は新札か使用感の少ないものを使う。
※香典では新札を使わないので注意。

お札を数枚入れる場合は、すべて向きを揃えておくのもマナーです。

お布施の渡し方

お布施は、お渡しする直前まで「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる小さな風呂敷に包んでおきます。お布施を袱紗に包んだまま渡す、お布施をそのまま手渡しするというのはマナー違反ですので、必ず袱紗をたたんでお盆の代わりにして渡しましょう。

渡し方・袱紗を右手に置き、左手で開く。
・お布施を取り出し、袱紗をたたみ、お布施を上に置く。
・お布施が相手に正面が向くようにして渡す。
※お布施以外は、お布施→戒名料→御膳料→御車料の順番で下に重ねて一緒に渡す。
※開始前なら挨拶、終了後なら感謝の言葉を添える。
タイミング・法要が始まる前か法要が終わった後に渡す。
※自宅に招いた場合は開始前がよい。
※引き出物も渡す場合は法要後か会食が終わる頃。

お布施を渡すタイミングは法要の開始前か終了後で、自宅に招いた場合は開始前の挨拶とともに渡します。

お布施を渡すときは、相手に正面を向けて「本日はよろしくお願いいたします」、「本日は故人の供養のため、ありがとうございました」などと添えましょう。

一周忌法要を行うために必要な準備

ここでは、一周忌法要を行うために必要な準備について紹介します。

準備の項目
  1. 日程
  2. 会場
  3. 会食
  4. 案内
  5. お供え物
  6. 引き出物
  7. 香典(参列者)

参列者の都合や会場の予約状況などと調整しながらすすめる必要がありますので、 一周忌の2か月前から準備をしていきましょう。

日程

一周忌法要は、故人の祥月命日である「忌日」に行うのが本来の慣わしですが、参列者の集まりやすさを考慮して多少なら日にちをずらしてもかまいません。

法要日程の決め方
・命日に近い土日で調整する
・平日や年末年始を避ける
・お寺や僧侶の予定に合わせる
・会場の空き状況を確認しておく
・親族同士で話し合って決める

一般的に法要は「前倒し」される傾向ですが、仏教の規律ではないため数日程度の後倒しなら問題ありません。

尚、法事の日程については詳しく書かれた関連記事もありますので、よければ合わせてご参照ください。

法事をやってはいけない日は?日程の決め方や注意点など日取りの基礎まとめ

会場

一周忌法要は、お寺、会館、自宅で行うのが通例です。それぞれの会場のメリット・デメリットを比較しながら決めていきましょう。

会場メリットデメリット
お寺・僧侶を手配しなくてよい。
・仏教の教えにもとづいて行ってもらえる。
・法要の場にふさわしい雰囲気で行える。
・遠方の場合は訪れるのに時間がかかる。
・お寺の都合に合わせた日程になりやすい。
・会場使用料が必要な場合がある。
会館・法要プランが用意されている。
・会食の手配をしなくてよい。
・必要な準備を任せられる。
・駐車場が完備されている。
・規模や内容によって予算が上がる可能性あり。
・会場に合わせた日程を選ばなければならない。
・お寺にあるような宗教色がない。
自宅・親族だけの都合で日程が決められる。
・故人を偲ぶのにふさわしい雰囲気で行える。
・お寺や会館よりも予算が抑えられる場合がある。
・僧侶の手配や必要な準備をしなければならない。
・お店の予約や食事の準備など会食の手配が必要。
・スペースが限られるため参列者も限定される。
・参列者のための駐車場が確保しづらい。

もし、先祖代々付き合いのある「菩提寺」がある場合は、日程以外にも必要な準備について事前に相談しておきましょう。自宅での読経だけお願いする場合でも、お坊さんの都合を確認しながら予定を立てるようにします。

特定のお寺との付き合いがない場合は、法要を予定している地域の中から探すか、どの地域からでも利用できる「お坊さん便」などの僧侶手配サービスを利用してもよいでしょう。

会食

一周忌法要などの仏事では、法要後に「お斎(おとき)」と呼ばれる会食を設けるのが古くからの慣わしです。お斎では故人を偲んだり、親族で今後の供養について話し合ったりなどして過ごします。

お斎については詳しく書かれた関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。

案内

一周忌法要の詳細が決まったら、参列者に案内をします。同居家族や日頃から交流のある親族なら電話やメールでもかまいませんが、目上の親族や家族以外の参列者には案内状を出すのが丁寧なマナーです。

もし、ごく限られた家族だけで行うのであれば、そのことを参列を予定していそうな親族や故人の友人・知人に伝えておきましょう。

法要の案内状については詳しく書かれた関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。

お供え物

一周忌法要などの仏事では、仏教の教えにもとづいて「五供(ごくう)」と呼ばれるお供え物を用意します。家族のみで行う場合は、故人が好んでいたものや遺族の気持ちを反映させたものなどを供えてもかまいません。

五供(ごくう)詳細
線香や焼香など香りの立つもの。
菊、ユリ、スプレーマムなど。※椿、バラ、ボタンは不向き。
灯明ろうそくの灯り。
浄水お水、お茶。
飲食ご飯、お菓子、果物など。

引き出物

法要の施主は、お供え物や参列へのお礼として参列者に引き出物を用意します。引き出物の金額相場は2千円~5千円程度ですが、法要の規模や参列者の数に合わせて調整してかまいません。

引き出物を用意する場合、掛け紙は「熨斗(のし)」なし、水引は黒白か黄白の結び切り、表書きは「粗供養」「志」などとします。

尚、法要の引き出物については、詳しく書かれた関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。

香典

法要の参列者は香典を持参するのが原則。もし法要の案内を受けているのに参列できない場合も香典だけは送るのが本来のマナーです。

ただし、案内状に「御香典辞退」と記載されていれば参列する場合でも不要ですが、お供え物や供花は渡せます。もし「御厚志辞退」の場合は供花やお供え物も控えましょう。

関係金額相場
故人が自分の親1万円~5万円 ※会食なしの場合は1万円~3万円
故人が自分の兄弟姉妹1万円~3万円 ※会食なしの場合は5千円~1万円
故人が配偶者の親兄弟姉妹1万円~3万円 ※会食なしの場合は5千円~1万円

香典の金額は故人との関係性によって異なり、会食の「ある」「なし」でも差がありますので相場を目安にしましょう。ごく限られた家族のみで行う場合は「香典なし」にして法要の費用を分担するケースもあるので、親族間で事前に話し合っておきましょう。

香典のマナーについては詳しく書かれた関連記事がありますので、よければ合わせてご参照ください。

【多すぎる香典金額はNG?】香典の金額相場や香典袋の書き方などのマナーを解説

【香典の入れ方解説】新札と旧札、中袋なしの場合などの正しいマナー

一周忌法要に参列するときの服装

ここでは、一周忌法要に参列するときの服装を男女別で紹介します。

本来、三回忌までは男女とも喪服で参列するのが原則ですが、ごく限られた家族のみで行う場合は略喪服も選択肢になり得ますので親族と相談して決めましょう。

準喪服ブラックフォーマルなどのセレモニースタイル
略喪服黒や紺、グレーなどのダークカラースタイル

ちなみに、略喪服は「平服」にあたりますので、普段の服装と混同しないように注意。また、参列者で服装を揃えるのも大切なマナーです。

【男性】一周忌法要の服装

スーツ準喪服の場合はブラックスーツ、略喪服の場合はダークカラースーツ
シャツ白無地のレギュラーカラー ※ボタンダウンはNG
ネクタイ準喪服の場合は黒のみ、略喪服の場合は黒や紺、グレーなど ※光沢ありはNG
ベルト黒無地のシンプルなもの ※アニマル柄や派手なバックルはNG
靴・靴下靴は黒い革靴、靴下は黒無地 ※素足や肌が露出するのはNG
髪型清潔感のあるスタイル ※ツヤを出すヘアケアはNG

もし、子供の参列がある場合、制服や落ち着いたデザインのフォーマルな服装でかまいません。

【女性】一周忌法要の服装

スタイル準喪服の場合はスーツやアンサンブルなどのセレモニータイプ、略喪服の場合はダークカラーの同スタイル
バッグ黒の布製で小ぶりなもの ※飾り付きや光沢ありはNG
パンプス黒の革製か布製でシンプルなもの ※ヒールは5cm程度
ストッキング黒無地で30デニール以下の厚すぎず薄すぎないもの ※柄や網はNG
アクセサリーつける場合はパールの控えめなもの ※ヘアゴムや髪飾りは黒っぽいもの
メイク控えめな色使いでナチュラルに ※ツヤの出るパールやグロスはNG
髪型清潔感のあるスタイル ※ツヤを出すヘアケアはNG

もし、子供の参列がある場合、制服や落ち着いたデザインのフォーマルな服装でかまいません。

まとめ

一周忌法要は故人の命日から満1年のタイミングで行う法要です。よく「一回忌」と「一周忌」で混同されますが、故人が亡くなったその日が「一回忌」の命日となるため満1年の節目は「二回忌」となりますが、奇数を重んじる仏教の考え方にもとづいて「二回忌」とはせず「一周忌」とします。

家族の生活習慣や宗教観などが多様になっている現代では、「家族のみ」「お坊さんを呼ばない」など法要の行い方もそれぞれ。ただし、故人にとっては最初の年忌法要となるため、どのような形式にするかは親族間でよく話し合って決めるようにしましょう。

本記事では、一周忌法要の流れや当日までに必要な準備のほか、お布施相場や書き方&渡し方、ふさわしい服装などのマナーについても紹介しました。ぜひ、本記事を参考にしながら、故人にとって大切な一周忌の節目を慎み深くお迎えください。

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