【多すぎる香典金額はNG?】香典の金額相場や香典袋の書き方などのマナーを解説

葬儀や法要で香典を用意するとき、金額や香典袋の書き方などに悩みますよね。

たとえば、「香典の妥当な金額は?」「失礼のない香典袋の書き方は?」「個人からの場合と会社からの場合では何が違う?」など、いろいろな疑問があるのではないでしょうか。

本記事では、葬儀や法事の場で失敗しない香典マナーについて以下の内容で解説します。

  • 香典にふさわしい金額の相場
  • 表書きや中袋などの書き方マナー
  • 香典の正しい渡し方・出し方

初めての準備でも手間取らないよう、図解や動画も使って紹介しますので、ぜひ、お役に立ててください。

香典にふさわしい金額の相場

香典は多すぎず少なすぎず、ふさわしい金額を包みましょう。

香典が多すぎると喪主に気を遣わせたり、一方で少なすぎると香典返しの方が高額であったりなどするためです。

ここでは、一般的な香典の相場を紹介しますので、故人との関係や故人の立場などからわかる適切な金額を準備しましょう。

故人との関係と年代別の一覧

香典の金額は、香典を包む人の年代によっても幅がありますので、一覧で確認してください。

ここからは以下のように故人との関係のパターン別で相場を紹介します。

  • 親族の場合
  • 仕事関係の場合
  • 友人・ご近所・知人の場合

それでは、ここから具体的に見ていきましょう。

親族の場合の金額相場

両親や祖父母、兄弟・姉妹の場合は義理の関係でも同じ金額になりますが、夫婦連名で用意するなら相場の5割増しを包みましょう。

祖父母へは同居か別居かに関係なく社会人の場合は用意し、両親に扶養されている立場であれば不要です。

また、香典を包む側の兄弟・姉妹(義理も含む)で金額を揃えるのもポイント。

もし、自分自身が喪主や施主(葬儀や法事の費用を負担する立場)なら、香典を準備する必要はありません。

仕事関係の場合の金額相場

同僚のほか、上司・部下へは故人が家族の場合も同額を包みます。

もし、個人で用意するなら上司より高額にならないよう相場を参考に適した金額を検討してください。

たとえ同じ関係でも付き合いの深さや年数によって幅がありますから、相場の中で調整したり、可能なら同僚や上司に相談したりして、ふさわしい額を定めましょう。

友人・ご近所・知人の場合の金額相場

生前の故人との付き合いの深さを目安にし、年齢や社会的立場など故人から見た自分の状況も考慮しながら適切な金額を用意しましょう。

数名でまとめて包む場合、特に金額を指定されなければ1人当たりの相場を参考に出費します。

故人の立場と法要別の一覧

香典を葬儀以外の法要で準備するときは、故人の立場と法要のタイミングを参考にしましょう。

故人との関係が強いほど金額は高くなりますし、法要を重ねるほどに金額は低くなります。

兄弟や同年代の親戚同士で金額を揃えたり、家族で連名にする場合は合計金額を人数で割るか、それぞれで用意したものを集めるかを相談したりして、ふさわしい香典を包みましょう。

参考:第4回お葬式に関する全国調査|いい葬儀

香典の相場以外のマナーにも注意

香典のマナーには、ふさわしい金額で包む以外にも注意するべき点があります。

  • 新札も傷んだ紙幣も包まない
  • 偶数や忌み数字に気をつける
  • お札の表を袋の後ろに向ける

ここでは、うっかりマナー違反してしまわないよう、よくあるNGをピックアップしていますので参考にしてください。

新札も傷んだ紙幣も包まない

ご祝儀と違い、香典では新札を包みません。新札だと「あらかじめ用意していた」=「不幸を予見していた、弔事を待ちわびていた」などの意味になるからです。

かといって、ボロボロの古札や破れているお札など、傷んだ紙幣も好ましくありません。

香典に包むなら、やや使用感のある綺麗なお札を使いましょう。

もし新札しかないのであれば、少し折り目をつけて包めば問題ありません。

偶数や忌み数字に気をつける

香典では、数が割り切れる偶数が「縁が切れる」との意味から、「苦」をイメージさせる「4」「9」は忌み数字として避けるべきとされています。

もし、金額が偶数や忌み数字になった場合、お札の枚数を変えるとよいでしょう。

例:「2万円」なら=1万円札×1枚、5千円札×2枚⇒合計3枚
例:「4万円」なら=1万円札×3枚、5千円札×2枚⇒合計5枚

まとめて連名で包む場合の枚数にも注意し、枚数を変えて偶数や忌み数字を避けましょう。

お札の表を袋の後ろに向ける

お札は、人物画のある表を香典袋や中袋の後ろに向け、人物画の位置を下にして入れましょう。

お札が複数枚あるときは向きを揃えるのもマナーです。

お札の正しい入れ方については、こちらに詳しく書かれていますので、よろしければ合わせてお読みください。

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香典袋の書き方マナー|宗教ごとの正しい表書き

香典袋の表書きは故人の宗教や宗派によって異なるため、正しい書き方を確認していきましょう。

ここでは、よくある表書きを示しながら使用できる宗派についても紹介します。

仏教は御霊前と御仏前を宗派で分ける

仏教の中で多くの宗派に使用されるのが「御霊前」です。故人の霊に供えるという意味があり、四十九日の法要まで使用できます。四十九日が過ぎたら「御仏前」となるため1周忌や三回忌以降は注意しましょう。

  • 無宗派でも可
  • キリスト教のカトリックなら可

仏教でも死生観の異なる(浄土真宗、真宗大谷派など)や曹洞宗は「御仏前」とします。「御霊前」はマナー違反になるため注意が必要です。

  • 「御佛前」でもよい

神式(神道)は御玉串料、御神前などと書く

神式(神道)では、「御玉串料」のほか、「御神前」「御榊料」などを使います。葬儀では「御霊前」も使えますが、五十日祭や式年祭などの法事では「御神前」がベターです。

  • 神式の各宗派でも書き方は同じ

キリスト教は宗派を問わずでよい

キリスト教にはカトリックとプロテスタントがありますが、どちらの宗派でも「御花料」と書けます。また、カトリックの場合は「御霊前」も使えますが、プロテスタントではNGですので気をつけましょう。

  • カトリックは「御ミサ料」も可
  • プロテスタントは「献花料」「忌慰料」も可
  • いずれもユリの花が描かれた不祝儀袋でもよい

宗教も宗派もわからないなら御香典とする

もし、故人の宗教や宗派がわからないなら、仏教の場合は葬儀でも法事でも「御香典」と書いておきましょう。

キリスト教かどうかは訃報の挨拶状や法事の案内状でわかりますので、宗派がわからない場合は「御花料」とするのがベターです。

  • 「御香料」でもよい

香典袋の書き方マナー|表書きの下段と中袋

香典袋の表には下段に送り主の名前を、中袋がある場合は金額や住所を書きます。

正しいマナーは「手書き」で、できれば薄墨の筆ペンを使用しましょう。

どうしても間に合わない場合は黒いサインペンでもかまいません。

ここからは記入例にもとづいて解説しますので、参考にしてください。

送り主の名前はフルネームで書く

個人で香典を包んだ場合は下段の中央にフルネームを書きます。

もし、故人と仕事や学校などでの関係であれば、名前の右上に少し小さなサイズで組織名を書くと喪主や遺族に関係性が伝わりやすいです。

妻が代理で渡すなら名前に「内」を添える

妻が夫の代理で香典を渡す場合には、名前の左下に「内」と書き添えます。

もし、夫婦ともども故人と親密にしていたり、夫婦揃って参列したりなどする場合は妻の名前も並べて書きましょう。

妻と連名で書くときは、中央に書いた夫のフルネームの左に苗字を省略して書きます。

上司の代理で渡すなら名前に「代」を添える

会社や学校など組織の上司の代理なら、名前の左下に「代」と書き添えます。

送り主の名前の右上に少し小さなサイズで組織名を書くと丁寧です。

もし送り主が社長でも、会社名だけで香典を出さないよう注意しましょう。

連名の場合は立場順で中央から左に書く

たとえば会社の上司と連名で書くなら、上司の名前を中央に書き、その左側に部下の名前を書きます。

遺族が故人との関係性を把握していないなら会社名を書くのが好ましいですが、書かなくても失礼ではありません。

もし、ご近所や友人同士などで立場に上下がない場合は「あいうえお順」で連ねましょう。

連名は3名までで立場順に左へ重ねていく

表書きの連名は3名までとし、立場が上の送り主から左側へ重ねていきます。

もし、ご近所や友人同士などで立場に上下がない場合は「あいうえお順」でかまいません。

故人と仕事や学校など社会的な関係なら、右側に組織名を書くと丁寧です。

4名以上の連名は「〇〇一同」と書く

送り主が4名以上になるなら、「〇〇一同」として「〇〇」には部署名や会社名、団体名などを書きます。

もしくは中央に代表者名を書いた左側に「外一同」と添えてもかまいません。

ほかにも「〇〇会社有志」と団体名に「有志」を添えて書く方法もあります。

4名以上の連名の場合は白無地の別紙も用意し、一同の団体名、全員の名前、住所、金額を書いて香典袋に入れましょう。

◆別紙の書き方

立場が上の送り主から順に左に向かって連ねましょう。

もし立場の上下がない場合は「あいうえお順」でかまいません。

中袋には金額と住所・氏名を書く

香典の額が1万円以上であれば、外袋に水引の付いた香典袋を使います。

香典袋には中袋が付いているので、表に金額を、裏に住所と名前を書きます。

金額は「壱萬圓」のような旧字体で書くのが正式なマナーですが、現在は「一万円」と略式漢数字で書かれるケースも増えています。

◆金額の記入例

  • 10,000円・・・金 壱萬圓(金 一万円)
  • 20,000円・・・金 弐萬圓(金 二万円)
  • 30,000円・・・金 参萬圓(金 三万円)
  • 50,000円・・・金 伍萬圓(金 五万円)
  • 100,000円・・・金 壱拾萬圓(金 十万円)

金額の下の「也」と書くこともありますが、香典の中袋には書かなくても失礼にはなりません。

また、中袋は封をせず、そのまま外袋で包みます。

封筒タイプの香典袋は裏に金額を書く

香典の額が1万円未満であれば、中袋のない封筒タイプを使います。

表書きは水引をかけた外袋と同じですが、裏に住所と金額を書くのがマナーです。

◆金額の記入例

  • 3,000円・・・金 参仟圓(金 三千円)
  • 5,000円・・・金 伍仟圓(金 五千円)

お札を入れたら封をしないのが基本マナーですが、不安な場合は開封しやすい程度に糊かテープで閉じましょう。

香典の渡し方・出し方|タイミングから添える一言まで

香典には、渡し方・出し方にもマナーがあります。

ここでは、香典を渡すタイミングから渡す際に添える一言まで好ましいマナーを紹介。

  • 香典は当日に受付で渡すのが基本マナー
  • 当日が無理なら弔問や郵送で渡すことも可
  • 香典を渡すときは一言添えてから差し出す

葬儀や法事で失礼のないよう、マナーに沿った香典の渡し方・出し方を押さえておきましょう。

香典は当日に受付で渡すのが基本マナー

香典は、葬儀や法事の当日に受付で渡すのが基本です。

もし、通夜にも葬儀にも参列する場合、いずれか1回でかまいません。

また、法事の際、受付がないときは施主に直接渡すのですが、お盆を差し出されたら香典袋を乗せましょう。

香典袋は袱紗(ふくさ)に包んで渡す

香典袋は、そのまま渡すと失礼になるため袱紗(ふくさ)に包んで渡しましょう。

袱紗の包み方にもマナーがありますので、ご参考ください。

◆袱紗の包み方

  1. 袱紗の角を上にして香典袋を中央に置きます。
  2. まず右側から折ります。
  3. 次に下⇒上の順で折って重ねます。
  4. 最後に左側を折って包みます。

※もし「爪」があれば左側にして最後に引っ掛けましょう。

袱紗には布タイプのほか、便利な袋型もあります。

格式は布タイプの方が高いですが、マナーとして問題ないため一般的に使用されています。

◆香典の渡し方

  1. 袱紗から香典袋を取り出します。
  2. 袱紗の上に香典袋を置きます。
  3. 表書きを相手の正面にして渡します。

布タイプの袱紗の場合は右手に置いて左手で開き、手早く袱紗を畳んでから香典袋を置きましょう。

当日が無理なら弔問や郵送で渡すことも可

どうしても葬儀や法事の当日に参列できない場合や、後から訃報を知った場合などは、後日でもかまいませんので弔問や郵送で香典を渡します。

後日であっても香典の金額や渡し方は変わりません。

もし郵送する場合は現金書留の封筒に入れ、「この度は誠にご愁傷さまでございます。なお、心ばかりの香典でございますが、御霊前にお供えいただきたく存じます」などと挨拶文を添えて送りましょう。

香典を渡すときは一言添えてから差し出す

当日でも後日でも、香典を渡すときは一言添えて差し出します。

通夜や葬儀の場合「この度は誠にご愁傷さまでございます」

法事や法要の場合「本日はお招きいただき、ありがとうございます。御霊前にお供えください」

また、香典返しを辞退する場合は口頭ではなく、中袋の裏か一筆箋に「返礼拝辞」「お香典返しはご辞退申し上げます」「お返しのお気遣いは不要でございます」などと書き添えておきましょう。

香典を渡すときは適切な金額やマナーで

香典には、ふさわしい金額やマナーがあります。

それぞれ簡単におさらいしておきましょう。

  • 香典の金額は故人との関係性や年齢を目安に決める。
  • 香典の表書きや宗教や宗派に合わせて書く。
  • 香典は送り主の数や所属によって正しく書く。
  • 香典は袱紗に包んで渡すか挨拶文と一緒に郵送する。
  • 香典を手渡すときは相手の正面に表書きを向ける。
  • 必要に応じてお悔みの言葉や香典辞退の一言を添える。

香典は基本的なマナーや一般的な傾向に沿って準備すれば、失礼なく葬儀や法事に臨めます。

ぜひ、本記事の各項目を参考にしていただき、スムーズな準備とスマートな渡し方に役立ててください。